有
エリー.ファー
有
夢にまで見たようなショー。
壊れないように大事に抱えた未来。
全然、関係ない。
何もかも分からない。
シビアな判断が求められる食事をしよう。
絶対に間違えてはならない。
このまま失ってしまいたい。
密やかな愛。
恋しているのだと叫びたい。
挨拶を蔑む輩に敬礼を、そうでなければ生きてはいけない。
悲しみを一握り。
夕暮れを僅かばかり。
非情になれ。
グラスの底に何もないのならば。
水辺を考えろ。
共に生きるのが難しいのであれば。
感じてはならない。
産み落とさなければ悲劇は消えない。
誰かを恨んで生きることが、糧になる。
恨みつらみは君を成長させないだろう。
恨みつらみが、君を君らしくするエネルギーになる。
恨みつらみを抱えて生きていけば、社会は君を認めるだろう。
君の幸福に必要なものは恨みつらみだ。
風を聴け。
グラスの中に魂を落とせ。
見事なまでにノートパソコンを破壊せよ。
いずれ、私たちは人間をやめてしまうのだから。
哀れだとは思わないで欲しい。
僕と君の間で生まれた世界だから。
誰にも邪魔されずに築き上げた、自分以外の世界なのだから。
酒を飲め。
女を喰らえ。
女になれ。
女とは友達になるな。
女を捨てろ。
女を愛せ。
女のために生きろ。
女を作れ。
女を世界で一番大事なものだと心得よ。
今、メールが届いた。
君。
そこの、君だ。
脳味噌を捨てよ。
金を捨てよ。
金銭から始まる言葉を数えよ。
アイスキューブが君に向かって語りかける。
風よ。
魂よ。
硝子よ。
そして。
魂の美しさよ。
もう二度と何にもなれないまま死んで行く黒い死神たちよ。
水滴。
ウォーターランド。
アイスクリーム。
ムーンセレナーデ。
ムーンセレナード。
言葉にしてはならない。
もしも。もしも、だ。
私を捨てる予定なら、今がいいだろう。
今世紀、最高の嘘をつくために、今を失うつもりだ。
さようなら。
神様。
さようなら。
情報戦。
さようなら。
ロシア。
さようなら。
ウクライナ。
さようなら。
戦争。
さようなら。
さようなら、さようなら。
もう少しだけ眠りたいんだ。
辛すぎる世界を見続けるのも辛すぎる。
誰かの不幸と悲しみが、僕の心に黒い染みを作り出した。
でも。
だとしても。
直視しなければならない、ということか。
何かの比喩なのか。
それとも、ただの直接的な現実なのか。
目を覆いたくなる。
だから。
人は眠るのか。
戦争が恐い。
僕を殺しに来るのではないか。
悲劇が恐い。
僕の形をしているのではないだろうか。
笑顔が恐い。
僕の人生が歪められてしまうような気がするから。
このサーカスは。
一体、誰の、何の、目的で、蠢ているのだろうか。
いずれ、獣が暴れ出し。
ピエロは臓物を喰らいながら踊り狂い。
ダイナマイトの音と共に観客は肉片となる。
お願いだから。
どうか、お願いだから。
静かにしていてくれ。
マジックを始めることができない。
ネタのないマジックを披露することができない。
時計の針が、僕を刺した。
血まみれが日付に変わっていく。
失ってくれ。
破れてくれ。
涙を拭いてくれ。
意思を捨ててくれ。
人間ではない何かになろうとしなければならない。
神はどこにいる。
どこにいたって、助けてくれはしないだろう。
いつだって。
神は見守るだけなのだ。
翼と瞳。
そして。
我が儘。
有 エリー.ファー @eri-far-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます