風護の研修メモ:霊管と解放同盟の思想的対立について

霊管と解放同盟の対立は「生域の治安のために、霊域でヴァイマンを討伐することは正当化されるか」という政治的争点から起きている。

それぞれの立場を簡単にまとめると、以下のようになる。


◎霊管の立場

○逆遷が生域の治安悪化に寄与していることはほとんど確実である。因果関係の厳密な立証こそできていないが、相関関係は明らかであり、多数の報告が因果関係を示唆している。


○これは霊人の存在が原因となって起こる一種の災害であり、霊人にはその防止へ向けて最大限の努力を行う責任がある。


○存在する領域が異なるとはいえ、生域の人間は同胞である。生域社会の安全を守り、生域社会の未来に寄与するために、霊域を管理することこそ霊人の存在意義である。


○その目的達成を妨げる者は、強硬的手段で排除することもやむを得ない。



◎解放同盟の立場

○逆遷と生域の治安悪化の間に、因果関係は立証されていない。よって生域への影響を前提に霊域での行動を規定する必要はない。

仮に生域の事件に逆遷が影響していたとしても、それは複数ある要因の一つに過ぎない。主な要因が生域にある以上、それを防止する主たる責任は生域にある。事実、何も問題を抱えていない人間が凶性干渉によって暴力的行為に及ぶことはまずない。


○どの霊人にも霊域で生存する権利があり、霊人の存在意義を問うこと自体が誤り。


○そもそも霊人として転現できた、つまり形を変えて生命が存続できたこと自体が幸運であり、その生命を奪うことは悪である。一部のヴァイマンに暴力的な特性があるのであれば、遭遇しなくて済むよう距離を置けば良い。レグマン・ヴァイマンを問わず、暴力・武力の衝突は避けるべきである。


○ただ、霊管がヴァイマンに対して組織的な武力行使を行う以上、我々も組織的な武力行使によって対抗する必要がある。


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