第16話 旅行の計画

夏休みも終わりが近づく午後、カフェの大きな窓から青空が広がり、少しだけ秋の香りが漂い始めていた。時佳と里菜は、テーブルにメニューを広げながら旅行の計画を立てている。木漏れ日がゆっくりと差し込み、カフェの静かな時間が心地よい。


時佳 「やっぱり温泉地がいいよね。疲れも取れるし、リフレッシュできそう。」


里菜 「うん、温泉に入ってのんびりしたいね。日常を忘れたい気分!どこに行く?」


二人は互いに顔を見合わせ、笑いながら温泉地の候補を考え始めた。窓の外の景色とは対照的に、心の中は静かに高まっていた。



カフェのテーブルに置かれたスマホを覗き込みながら、二人はネットで温泉地を調べる。美しい風景の画像や観光地のレビューが次々と表示される中、里菜がふと声を上げた。


里菜 「ここ見て!露天風呂がすごく良さそう!自然の中でゆっくりできそうじゃない?」


時佳 「ほんとだ、これいいね。それに食べ物も美味しそう。地元の名物を食べるのも楽しみだし。」


里菜は興奮気味に頷きながら、スマホの画面をスクロールし続ける。二人の中で行き先が徐々に固まり始め、温泉と美味しい食べ物を満喫するプランが描かれ始める。



行き先が決まり、今度は旅の具体的な予定を話し合う時間がやってきた。それぞれが興味を持っていることを口にする。


時佳 「私は美術館とか地元のギャラリー巡りがしたいんだ。静かな時間を楽しみたい。」


里菜 「私はハイキング!せっかく自然の中に行くんだし、山の景色を楽しみたいな。」


主人公は少し考えた後、提案する。


時佳 「じゃあ、昼間は別行動にしようか。それぞれやりたいことをして、夜は旅館でおしゃべりしよう。」


里菜 「それいいね!夜はお互いの経験をシェアしよう。楽しみだね!」


二人はそれぞれのプランを描きながら、心がどんどん弾んでいく。旅先での新しい経験に対する期待が、徐々に現実味を帯びてきた。



旅行の計画が進むにつれ、時佳の心には期待と不安が混ざり合い始めた。楽しい計画がどんどん膨らんでいく反面、「本当に楽しめるかな?」という小さな疑問も頭をよぎる。


時佳 (心の声)「旅先で何か新しい自分を見つけられるのかな…でも、里菜との思い出ができればそれでいいのかもしれない。」


窓の外に目をやると、青空がどこまでも広がっている。どこか遠い場所に旅立つことは、自分自身の内面を見つめ直す旅でもあるのかもしれないと、時佳はぼんやりと思う。



計画が固まり、旅行の日程が近づいてくると、時佳は準備に取りかかった。持ち物リストを作り、カバンに詰めていく。行きたい場所ややりたいことを再確認する中で、ふと自分に問いかけた。


時佳 (心の声)「この旅で何を得たいんだろう?もっと自分のことがわかるきっかけになればいいな…」


カバンに詰めた服を見つめながら、時佳は胸の中に小さな決意を抱いた。何かを探しに行く旅路で、新しい自分と出会えるかもしれない。その期待感に心が少しだけ高鳴る。


旅行前の静かな夜、時佳はベッドに横たわった。

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