第9話 幼馴染との放課後?
幼馴染である彩芽のクラスとの合同授業を終えた日の放課後。
そんな中、帰宅している際には、教室から声が聞こえていた。
教室の後ろの席に座っている陽キャグループの声である。
帰る準備をしながら耳を澄ましてみると、
美蘭は急いでいるらしく、いつもの友達にも簡単に挨拶したのち教室を後にして行った。
美蘭は、真幸の存在には気づいているはずなのに、帰宅する前に声をかける事はしなかった。
よっぽど忙しい用事でもあるのかな?
そんな事を思いながら真幸は帰宅の準備を終えたリュックを背負い、教室から出ようとする。
「なあ、お前さ。この頃、美蘭と仲がいいみたいじゃん。なんかあったの?」
「え……」
教室の出口に向かおうとしただけなのに、それを阻むように、とある陽キャ男子の一人から話しかけられていた。
「白石さんの方から、友達になろうって言われて」
「へえ、そうなんだ。というか、一応聞いておくけど、恋人同士ってわけじゃないよな?」
「い、いや……そうじゃないけど」
真幸は咄嗟に嘘をついてしまった。
美蘭と付き合っている事は、まだクラスメイトらには伝わってないはずであり、深く話す事はしなかった。
「そうか。なら、いんじゃね」
「え? どういうこと?」
「なんていうかさ。美蘭って他の人からも告白されてたし。昔さ、別の学校に通ってるやつがいてさ。そいつと付き合ってたらしんだよね。今は別れたとか聞いてるけど。というか、美蘭自体が色々とあるらしいんだよ。付き合うってなったら、大変になるって話。まあ、付き合ってないんだったら、それでいいよ」
「そ、そうなんだ」
「まあ、ただ、それだけ」
その陽キャ男子は軽く挨拶して、他の陽キャグループと共に教室を後にして行ったのだ。
「真幸、暇なら一緒に帰らない?」
真幸は首を傾げて廊下に出た頃合い、幼馴染の
真幸は彼女と帰路に付く事となった。
「今日は一人なんだね。あの子は?」
学校近くの通学路を歩きながら、真幸は彩芽と会話していた。
「なんか、急いで学校から出て行ったけど?」
「そうなんだ、何かあった感じ?」
「さあ、細かいところは知らないから何も言えないけどさ」
「まあ、私からしたら、都合がいいんだけどね……」
「え?」
「いや、こっちの独り言」
彩芽はなんでもないと全力で身振り手振りをして何かを隠しているようだった。
「なんでもないんだったらいいんだけどさ」
「そういう事にしておいて」
彼女はホッとため息をはいていたのだ。
「それで、ちょっと寄り道していかない? 今日は暇なんでしょ?」
「そうだね」
「少し遠回りになるかもしれないけど、今から街中に行く?」
「いいよ」
真幸は断ることせずに、幼馴染と共に街中へと向かう。
行きついた先は、街中のちょっとした高級感あふれるアクセサリショップであった。
二人は店内に入り、キーホルダーエリアにて――
「ねえねえ、真幸はこういうの好き?」
彩芽が手にし、真幸に見せてきているそれは、リンゴの形をしたキーホルダーだった。
「アクセサリは好きな方だけど。それ買うの?」
「買いたいなって。真幸は買うとしてリンゴでもいい?」
「リンゴか、他のは?」
「バナナとか、ブドウとか、えっと、サクランボもあるね。真幸はこのリンゴを含めて、何がいいと思うかな?」
「んー」
真幸は悩んだように唸っていた。
考え込むが、すぐに一つには決める事が出来なかったのである。
「真幸が好きな果物は?」
彩芽は、今手にしている果物系キーホルダーをグッと近づけてきた。
「じゃ、記念に残る感じのにしよ」
彼女が真幸の顔の近くまで見せつけてきたそれは、サクランボのキーホルダーである。
「というか、真幸が好きなのって、サクランボだったよね? これでいい?」
「う、うん。それで。というか、俺の顔に近づけすぎだから」
「ごめん。まあ、これで決まりってことだね」
彩芽が半場強引に話を進めていたのである。
結果として、サクランボのキーホルダーになったのだ。
これはこれで良かったのかもしれないと思い、真幸は彼女と他の商品を見るために店内を回って歩くのだった。
「他はね。何がいいかな」
アクセサリショップの店内には、キーホルダーの他にも、色々な商品が幅広く取り揃えられていた。
宝石系や指輪などである。
その中でも、店内を回って歩いていると、ひと際目立つ場所があった。
それはアニメキャラのイメージカラーを模した首につけるアクセサリがあったからだ。
「これって、今はアイドル系のアニメとコラボしてる商品じゃない?」
そのアイドルアニメというのは、数か月前に深夜アニメ枠で放送された作品であり。その作品の主役として登場していたアイドルキャラが元になっているようだ。
そのコラボしているアニメの詳細説明については、見本として置かれている商品の近くに設置されてあった。
真幸も、そのアニメを見た事があり、色合いを見ただけで誰が元になっているかは把握できていたのだ。
「それも買うの?」
真幸は彼女に確認するように問いかけていた。
「買いたいんだけど。結構な値段がするんだよね」
彩芽は商品価格のところを見て、少々唸っていた。
金額的に一万円だったからだ。
「買えなくもないんだけど。すぐには難しいかも」
「だったら、後にする?」
「で、でも、期間限定商品だし……」
彼女は物凄く悩んだ後、購入を決意したのである。
「やっぱ、買おうと思った時に購入するのが一番だよね」
彩芽がそれでいいのなら、それでいいと思う。
真幸はあまり止める事はせずに、彼女の考えを尊重する事にしたのだ。
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