天稟恩寵の儀〜神から与えられたスキルは人生を左右するか?〜
変形P
第1話 スキル恩寵の儀(前編)
ここ、ラプランス王国では、国民が15歳になると
神とは国教であるグラプト教の唯一神で、その姿を人が見ることはできないが、
知られている
・戦士系:拳闘スキル、剣術スキル、弓術スキル、槍術スキル、軍師スキルなど
・職人系:鍛冶スキル、大工スキル、建具スキル、服飾スキル、偸盗スキルなど
・産業系:農民スキル、漁師スキル、猟師スキル、樵夫スキル、商人スキルなど
・事務系:経理スキル、簿記スキル、法務スキル、監査スキル、書記スキルなど
・医療系:診断スキル、調薬スキル、施術スキル、療養スキル、介助スキルなど
・芸術系:素描スキル、演奏スキル、彫刻スキル、戯作スキル、賦詠スキルなど
・特殊系:上記に分類できない特殊なスキル
例えば剣術スキルでは、剣の扱いが得意にはなるが、剣豪になれるか否かはその人の努力と運次第である。
また、
ただし、神が与えた
ある年、王都サイテムに住む少年ロタクは15歳になり、グラプト教の神殿に
例年よりも多くの人が教会に集まっている。
「なんでこんなに人が多いんだろう?」とロタクがひとり言を言うと、見物に来ていた中年男性が、
「今年は王子が15歳になる年だからな、国王や警護の騎士たちが集まっているんだ」と聞かないのに教えてくれた。
「へ〜、王子も
「王子がひとりしかいないわけじゃあない。もし王子が変な
「そうなんだ。王子は大変だな。・・・僕たちは
「そうだな。せめて戦士系か、法務スキルならいいんだが・・・」
「ところでおじさんは何の
「俺か?・・・俺はなあ、子どもの頃は絵を描くのが好きだったんだ。親によく『落書きなんぞしないで、家の仕事を手伝え』って叱られていたなあ・・・」とその男性は言って過去の記憶を探るように目を細めた。
「だから素描スキルがほしかった。それがあれば絵師の弟子になれるだろうと思ってな」
「その
「いや、最初にもらったのは漁師スキルだった。・・・俺は愕然としたぜ。何せ俺は町育ちで、魚を取りに海や川に行ったことなんぞなかった。漁師に雇ってもらいに漁村に行くなんて、とても考えられなかった」
「・・・おじさんは漁師には見えないね」
「そりゃそうだ。俺はすぐに別の
「
「短い詩を書くのが上手くなるというスキルだ。俺はそれまで詩なんて読んだことはなかった。でも、同じ芸術系だろ?もう一度
「それで神様に願ったんだね」
「そしてもらったのが
「
「人の家にこっそり忍び込んだり、鍵を簡単に開けられるようになるという才能さ」
「それって泥棒ってこと?おじさんは泥棒を仕事にしているの?」
「馬鹿!俺が泥棒だったら、今頃捕まって牢屋に入っているぞ」
「それもそうだね。で、どうしたの?」
「しかたないから
「王宮に雇われているなんて出世じゃん!」とロタクは言ったが、男性は首を横に振った。
「人々の不平不満を粗探しするなんて、やな仕事だぜ、まったく。第一俺が警備隊の手先だと知れたら、ごろつきどもに何をされるかわかったもんじゃない」
「それもそうだね。・・・って、僕にそんなことを話していいの?秘密にしてるんじゃないの?」
「時々無性に誰かに話したくなるんだ。お前とはもう二度と会わないと思うけど、俺のことを誰かにチクるんじゃないぞ」
「わかったよ、おじさん」
「お前も15歳になるのか?そろそろ儀式が始まるぞ。教会の前の方に行くといい」
「うん。じゃあね、おじさん」ロタクはそう言って教会の中を進んで行った。
教会の奥の祭壇の上は高いドーム状の天井になっており、その天井から神の声が聞こえるのだという。
王都の15歳の少年少女が数十人並び、ロタクもその中に混ざった。なお、15歳になる王子はロタクたちの集団の一番後に並んだ。
子どもたちの周囲には観客がおおぜい集まっており、誰が何の
「では子どもたちよ、順番に前に来なさい」と祭壇に立つ司教が言った。
ロタクたちは誰から先に行けばよいか迷っていたが、一番前にいた少年が意を決して歩み出た。
「名前は?」と聞く司教。
「コブルです」
「では、コブルよ、祭壇の前で祈るがよい」
司教に言われてコブルという名の少年は祭壇の前で手を組み、頭を下げた。とたんにドーム状の天井が淡く光り、中性的な神の声が聞こえてきた。
「そなたに授ける
おーっと教会にいた子どもや見物客が声を上げた。
「『拳闘』か。・・・戦には向かないから、兵士じゃなく警備兵だな」と誰かが言った。
コブルは嬉しそうに祭壇の前から下がって来た。
「次の子どもよ、出なさい」
司教の言葉に従って今度は少女が前に進んだ。
「名前は?」と聞く司教。
「ルチアです」
「では、ルチアよ、祭壇の前で祈るがよい」
少女が祭壇の前で手を組むと、すぐに神の声が聞こえてきた。
「そなたに授ける
どよめく観客たち。当の少女は困惑していた。
「神様、私は女です。力を使わない
「
「チェンジ!」すかさず唱える少女。するとまた神の声が聞こえてきた。
「そなたに授ける
それを聞いて少女の顔が明るくなった。
「ありがとうございます、神様。私はお針子になります!」
少女は満足げに戻って来た。
このように、どう考えても似合わない
2回チェンジして、それでも意に沿わぬ
このように次々と少年少女たちは
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