ウィザードエデンズ
シャチマくん
第一巻
序章「俺が術師になったきっかけ」
第1話「運命が引き起こした謎」
俺の名前は博間零介。どこにでもいるようなごく普通の男子中学生だ。最近になって周囲では急に行方知れずになる人たちが増えて来て、物騒な世の中に変化を遂げて行く。それは自身にも起こったことであり、さらに不可思議な体験までするのであった。
「うわぁ! 大変だ! ベッドが水浸しになってる⁉」
「はぁ? もしかしておねしょでもしたの?」
「違うよ! 上半身まで濡れてるし、普通に考えて分かる通り、こんなにおしっこ出ないよ!」
「それもそうね? でも、それ以外に何が考えられるの? とにかく乾かすから手伝いなさい?」
「はーい」
それが最悪な出来事の始まりだった。それを理由に起こった事態が、俺にきっかけを与えたのである。それも自分の人生を大きく揺るがす事態に発展するのであった。
そして俺は着替えてから、すぐに学校に登校した。まさか起きたら部屋中が水浸しになっており、その規模を考えるとおねしょではないと思われるのが普通だ。けど、それなら何で辺りが濡れたのかが分からない状態になっていたのである。だけど、その時は大して気にすることもしなかった。
そこで俺が授業中に居眠りをしていると、そこで再び不思議な現象が起きた。いきなり俺の周囲が濡れ始め、最初はおねしょが原因だと思われる。学校中で俺のおねしょ騒動が話題になり、俺はそれを最悪に思うのだった。しかし、先生が言うにはおしっこではなく、紛れもない水でしかないと判断される。けれど、その出来事も謎のまま終わらせてしまうのだった。
これがきっかけで頻繁に水浸しになる騒動が起こる。それも俺の周囲にだけだ。それが気になって病院に連れて行くと、そこで魔術師に来てもらうことになった。
「本当に大丈夫かしら? 一応お金は掛からないみたいだけど、ちょっと怪しいわよね?」
「でも、医者が勧めたんだろ? それに最近になって行方不明が増えたし、何か関係あるのかも知れないだろ?」
「そうね?」
そんな風に両親が心配する中で、例の術師が自宅にやって来た。彼は不思議と嫌な雰囲気を醸し出しており、どこからどう見ても怪しげな服装にしか思えない格好だったのだ。しかし、それでも彼が最近になって知名度を上げた術師と言う奴なのだろうと思っていたのが、最悪な事態を起こすきっかけだった。
「どうも。僕が魔術師をやっております。名はどうでも良いでしょ? それよりも例の子供を見せてください」
「こちらになります」
そうやってお母さんがそいつを中に入れると、彼が俺を見た瞬間に目を見開いて驚いた様子を窺わせる。そして急に意味の分からない一言を呟いた。
「安心。して。君は僕が連れ帰る」
すると、そこで事態は起きた。
ぶしゃぁぁぁ!
「——え?」
その時、隣にいた両親の頭が破裂した。それも周囲に手を下した者はいない。しかし、確かに両親は首から上が消失していた。そして血が噴き出す。
「そ、そんなぁ——」
俺は恐怖した。そして目の前の術師にも不思議なことが起きる。それは家の壁と一緒に吹き飛ばされたのだ。吹き飛んだ壁に巻き添えを食らいながら、術師は倒れ込んでいた。それを目前にして俺の内心では恐怖に染め上がる事態となったのだ。
「な、何なんだよぉ~⁉」
「——くっ。到着が早いなぁ。ロクな足止めにもならなかったか」
「どうやら間に合わなかったみたいだ。二人も犠牲者が出るとはな」
(な、何だ⁉ だ、誰がうちの壁を⁉)
そこで俺の脳内には疑問が幾つも生じた。誰の手によって両親が死んだのかも含めて疑問になったのである。すると、そこでうちの壁を吹っ飛ばしたと思われる人物が姿を見せた。彼は俺が招いた術師を殺しに掛かる勢いで吹っ飛ばしたのだ。しかし、それを受けたにも関わらず術師は死ぬことなかった。そして平気そうな顔で攻撃して来た人物を指摘する。その光景は異様であり、まさに平穏が崩された瞬間なのであった。
「どうやらお前が殺したようだな? 一体何人もの人々を殺せば気が済むんだ?」
「別に構わないじゃないか。どれだけの人々を殺そうが僕の勝手だろ?」
「そこが気に入らないんだよ。今日こそお前を地獄に送ってやる!」
「出来るかな? 君が僕を殺せたことなんて一度でもなかっただろ?」
「だったら逃げるなよ!」
「嫌なこった!」
今度ははっきりしていた。壁を破壊した人物が放った球体状に固まっている光が術師に向かってぶつかって行く。そして光を放ちながら爆発した。
どーん!
「ちっ。逃げられたか?」
(な、何が起きたんだ……?)
その時にはとっくに術師はいなくなっており、残ったのはもう一人の怪しい人物だけだった。
(もしかしてとこいつが俺のお父さんとお赤さんを殺したのか?)
すると、そこで急に俺の意識が掠れ始める。そしてそのまま気絶に至ると、俺は意味不明にも思える光景に出くわすのだった。それが俺の運命を変える事態となった出来事なのである。
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