空不思議

入月純

其の一

 この世の中は平等にできていない。


 生まれながらに強者と弱者は分けられ、一生その差を埋めることは叶わず、弱者は弱いまま強者の食い物にされ、死んでいく。


 それが僕は堪らなく悔しく、そして腹立たしい。


 生まれる家を選べないと言うけれど、ならばなぜ平等にしようと国は動かないのか。


 生まれた子供に罪はないというのであれば、なぜ可哀想な目に遭う子供が救われるような社会構造を構築しようと、国民は国に働きかけないのか。


 答えは簡単だ。


 弱者はそんなことをしている暇はなく、馬車馬のように働くことが義務付けられているし、強者に至ってはそんな運動を起こす必要が一切ないからである。


 僕はこの現状をどうにかしないことには、貧困や少子化の改善は不可能だと思っている。


 なぜなら、格差が広がれば広がるほど、如何に他者から搾取するかが生きるためには重要になってくるからだ。その結果、下の者は更に下を生むし、上の者は下の者がどれだけ醜く争おうと見窄みすぼらしくなろうと知ったことではないだろう。


 ということは、下の者は一生地面を這いつくばって、生き恥を晒して死にさらばえていくことしかなく、上の者は下でなにが起こっているのかすら知らずに、幸福に塗れ死んでいく。


 それではどこに希望を見い出せと言うのだろうか。


 下の者は、自分と同じ思いをさせないようにと子孫を残すことを拒否するのではないだろうか。


 上の者は、下の者がいなくなられては困るはずなのに、そんなことにも気付かず安穏と日々生活している馬鹿な人間ばかりだ。


 少しは頭を使うべきだ。上の者が、もっと賢くなるべきだ。


 僕はそう思う。

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