転校生の済木さんは中二病でサイキッカー
@HaLu_
第0話 「サイコキネシス!使えます!」
『超能力』
発症のタイミングには個人差があるものの、平均的に中学二年生の頃に発症すること。そして成人するにつれて自然と治っていくことから、この病は別名『中二病』と呼ばれるようになり、そのまま世間に浸透することになった。
これは、高校生にもなって未だに中二病を煩い続けている少年少女達が織り成す能天気青春物語である。
4月。
春休みが明け、新しいクラスで1人ポツンと自分の席に座る。緊張や不安が入り交じり、今回も上手く馴染めるだろうかと悩んでいると、1人の陽気な男子が俺に声をかけてきた。
「よぉ
「……なんだ純平か。誰かと思った」
「おい親友の声を忘れちまったってのか?連れないねぇ」
声をかけてきたのは1年の頃に同じクラスで仲良くなった男子「
「まぁそんなことはどうでもいい!知ってるか?1年にめっっっちゃ可愛い女子いるんだってさ!」
「へぇ……知らないな」
「相変わらず遅れてんなぁおい……てなわけで後で見に行こうぜ!クラスも調査済みだ!」
「ったく………始業式終わったらな」
「よしきた!それでこそ我が親友!」
そうして俺達がその後も下らない話をしながら過ごしていると、俺達の教室に女の教師が入ってきた。
「よーし集まってるなー?1回座れー」
少しズボラな教師の指示でクラスの皆は席に着いた。始業式には少し早い気もするが一体何事だろうと考えていると、教師はめんどくさそうに教室の外へと手招きをした。
「ほれ入ってこーい」
「失礼します!!!」
小学校に逆戻りしたのかと思うほどの挨拶の大きさ。その声の犯人は廊下から自信満々といった感じで胸を張って入場してきた。そして教壇に立っていた教師の隣に立ち、教室をぐるりと見渡していた。
「あー……はい自己紹介よろしく」
「はい!!」
長さは肩にかかるくらいで、紫がかった青い髪。体型も出るとこは出ているその女子は腰に手を当て、女子がしてはいけないレベルの険しい顔で唸り始めた。
「んんんん……!!」
何かを念じているようにも見えるその姿にクラス中の注目が集まる。すると白のチョークが浮かび上がり、黒板に文字を書き始めた。
「私のっ…名前は……!!!」
書き始めたのは良いがチョークは目茶苦茶プルプル震えており、未だに名字の一画目すら書けていなかった。
ポキンッ
「んなっ!?」
無情にもチョークはへし折れ、床へと落下してしまった。女子は急いでチョークを自ら拾うと、何事もなかったかのように自分の手で名前を書き始めた。
意外にも字は綺麗で、書き終えた女子はこちらに向き直して満面の笑みで自己紹介を再開した。
「
女子は元気に名前を名乗ると、続けざまに今日1番のドヤ顔でカミングアウトするのだった。
「サイコキネシス!使えます!」
転校生の済木さんは中二病でサイキッカー @HaLu_
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