ドキドキ!?温泉旅行と智也の苦難
第14話 女子大生として温泉旅行!? 智也、最大の危機!
サークルの展示会も無事に終わり、Dランクへの昇格が決定してからしばらくの間、サークル内では次なる目標に向けた議論が続いていた。次の展示会やコンテストの準備に向けて、メンバーたちはそれぞれ忙しくしていたが、そんな中、サークルメンバーから意外な提案が持ち上がった。
「ねぇ、みんな!ちょっと一息つきたくない?次のプロジェクトの前に、みんなでリフレッシュしようよ!」
桜が部室で突然、明るい声で提案を投げかけた。智也はその言葉に驚きつつも、話の流れを聞き逃さなかった。
「リフレッシュって…どこに行くつもり?」
智也が戸惑った様子で尋ねると、桜はにっこりと笑いながら言った。
「温泉旅行だよ!みんなで温泉に行って、ゆっくりしようってこと。もうプロジェクトも一区切りついたし、気分転換も必要でしょ?」
「温泉…?」
智也はその言葉に戸惑いを隠せなかった。温泉と言えば、当然男女別のお風呂が用意されている場所だ。そして、彼は「彩香」として女子大生になりすましている以上、智也がどちらに入らなければならないかは明白だ。それがどれだけ危険な状況か、すぐに理解した。
「温泉か…悪くないわね。確かに一度リフレッシュするのは良いかもしれない。」
玲奈もまた、この提案に賛同したようで、クールな表情で言葉を続けた。しかし、その冷静な口調が智也には不安を掻き立てる。玲奈の観察眼は鋭く、智也の正体に気づかれるリスクは常に存在していた。
「やばいな…これ、どうやって切り抜ければいいんだ…」
心の中で焦る智也だが、他のメンバーたちも温泉旅行の話題に乗り気になっていた。
「楽しそうだね、温泉。みんなで行けばきっと楽しいよ。」
霞が優しい声で同意する。彼女の表情はいつも通り穏やかで、特に心配している様子もない。智也はその彼女の無邪気さに少しだけホッとしつつも、すぐに現実に引き戻された。
「本当に…どうするんだ…?」
智也はその夜、家に帰るとすぐに妹の彩香にこの状況を相談することにした。彼女なら何か解決策を思いついてくれるかもしれない。
「彩香、マジでやばいんだけど、サークルのメンバーが温泉旅行に行くって話になってさ…どうすればいいと思う?」
スマホのメッセージにすぐに返信が返ってくる。
「えー!面白そうじゃん! 温泉旅行とか最高じゃない? 智也も楽しんできなよ!」
「いや、楽しむどころじゃないんだって… 俺、女子大生になりすましてるんだぞ? 温泉なんか行ったら絶対バレるって…」
智也の必死の訴えに対し、彩香はまるで意に介さない様子で楽しげなメッセージを返してくる。
「大丈夫だって。お風呂とか、タイミング見計らえばなんとかなるでしょ?そもそも、智也って私とそっくりだから、そんなにバレないよ♪」
「…いや、バレるって!」
智也は思わずスマホを握りしめて叫んだが、彩香からの返信は軽いものばかりだった。結局、彼女はあまり深刻に考えていないようで、頼りにはならなさそうだ。
「もう、自分で何とかするしかないのか…」
智也は頭を抱えつつも、どうにかしてこの状況を乗り切る方法を模索し始めた。
そして、温泉旅行の日はすぐに迫ってきた。メンバーたちはそれぞれ旅行の準備を進め、智也もまた荷物をまとめながら、どうやって危険な瞬間を乗り切るか考えていた。旅行カバンに女性物の服や下着を入れていることすら本来は異常なことなのだが、智也にとってはこの先待ち受ける苦難で頭がいっぱいだった。
「とにかく…できるだけ目立たないようにしないと…」
智也は覚悟を決め、当日を迎えることにした。女子大生としての温泉旅行。普通の男子にとってはまったく想像もできない状況だが、智也はこの奇妙な状況に挑まなければならなかった。
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