第1話 私が主人公じゃないの?!

雨宮晴、20歳。

生まれて初めて、異世界転生しました。

「って、思ってたんだけど……」

私、死んでないんですけど?!

私は、今までの人生全てを異世界転生系漫画にかけてきたつもりだった。

大体の漫画の死因は『過労死』やら『トラック』やらだったが、どうにもこのパターンは珍しい。

「そして、清々しいほどに森だ!空気が気持ちいいね!」

とりあえず、ハイテンションになってみたが、とくにあるわけでもなく。

実際、すごく周りは緑で覆われている。

おそらく、森だろう。

ささやかに流れる風の音は気持ちがいい。

「まずいな、ゲームの世界なら終わりだぞ…。最近やったゲームが思い出せない!」

と思っていたその時。

グルル……

「んぇ?」

振り向くと、いかにもな牙を持ったでかい狼がいた。

「えーっと…り、立派な牙をお持ちで……。」

だらだらと流れる冷や汗に、青くなっていく体。

その時。


___特殊スキル【暴食】を使いますか?


音程のない、機会音声のような声が聞こえた。

「ッッッッ…!これだよコレ!こういうのがほしかったんだよ!使います!」


___認証。 【###】による特殊スキル 【暴食】を発動します


抑揚のない機会音声が言葉を紡いでいく。


と。


「………あれ?さっきの狼チャンは?」

さっきまでいたおおかみは私の目の前から姿を消していた。

その代わりかなんだかしらないが、目の前に謎の骨がおかれていた。

「……おいおい、これもしかして…?NPC 《ノンプレイヤーキャラクター》」に転生した?」

____どうやら私、NPCに転生しちゃったようです。

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異世界に転生したらスキルが【暴食】だったので世界の悪とか食べていこうと思います 夢時間 @nekokurage0

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