異世界転生したのに7秒で殺された僕〜イカれた日常シリーズ短編集〜
士流
第1話 異世界転生したのに7秒で殺された僕
あー、人生って疲れるなぁ。
僕は
今日もクラスの奴らにいじめられて、気分は最悪だ。
あー。
なんか人生どうでもいいな……。
僕はぼーっと道を歩いていた。
「 危ない!!!」
「 え?」
目の前にはトラック……。
そっか……赤信号だったのか。
トラックに轢かれて死ぬんだろうな……。
でも……。
やっと死ねる……。
僕はトラックに轢かれて死んだ。
……。
「 ん? 何だここ? 明るい部屋? 僕は死んだはずじゃ……」
「 ええ、あなたは死にました。ここは天界……死後の世界です」
「 え? 天界? 死後の世界?」
目の前に急に現れた銀髪の美少女はそう言った。
「 あなたは一体何者なんですか?」
「 私は天界の神、フレシア。これからのあなたの人生を決める者です」
「 僕の……これからの人生?」
僕はもう死んでいるのに、これからの人生って一体どういう事だろう……。
「 本来であれば死んだ人間はそのまま
「 転生? もしかして僕……」
「 ええ、あなたの人生は酷く、醜いものでした。そのため転生する事ができます」
やった! 今までの人生は本当に酷かったから、次の人生こそは良いものにするぞ!!!
「 あなたには2つの選択肢があります。1つ目は元の世界、日本で赤子からやり直す。2つ目は異世界へ転生し、魔王を倒す道を歩む事です」
!?
「 異世界!? 魔王!? 本当ですか!?」
「 ええ、本当です。異世界の勇者として転生するのです。容姿や体は今のままです」
僕はずっと願っていた。異世界転生を……。
「 僕は……異世界へ行きます! 勇者として、魔王を倒します!」
僕は異世界でヒーローになる!!
「 決まりましたね。それではこれを……」
天界の神様は僕に剣を渡してきた。
「 これは一体何ですか?」
「 これは伝説の剣です。万物全て斬ることのできる最強の剣です。どうか魔王を倒してください!」
「 ありがとうございます! 僕、必ず魔王を倒します!」
「 ええ、期待しています。それと、最後に忠告です。異世界で死んだ場合はもう転生する事も出来なくなり、無となりますのでお気をつけ下さい」
「 こんなチート武器があるし、大丈夫ですよ!」
「 それでは死人、山田裕樹さんを異世界へ転送します!!」
俺の立っている地面に赤い魔法陣が現れた。
そして……。
「 ここが、異世界……」
周りには草原が広がり、太陽の日差しが眩しい。どうやら本当に異世界に来てしまったようだ。
さてと、これからどうしよっかな……。
「 貴様、急に現れて何者だ! 怪しい奴め! 死ねーー!!」
「 うぐっ!!!!」
え? 刺された?
一瞬だった。後ろから盗賊のような格好をした男に剣で心臓を貫かれた。
僕は倒れ込み、真っ赤な血が草原を染めていく。
やがて意識が遠のき……。
僕は死んだ。
せっかくの異世界転生だったのに……こんなのって……。
−−−天界では−−−
「 アハハ! ちょっと見てよあの人間! 異世界行った途端死んだんですけどーー!!」
「 マジウケる! 異世界の勇者死亡RTA、大幅更新だよ!!」
「 記録7秒!! お疲れした!!」
天界では神様たちが盛り上がっていた。
山田裕樹……。異世界の勇者として生まれ変わったのに7秒で死亡。
これからもこの先も、彼を超える者はいないだろう……。
次回 イカれた日常シリーズ 第2話
『地球を侵略しに来た宇宙人、着陸に失敗し死亡。地球侵略失敗」
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