第71話

***



「は?ってかマジあり得ない。何そのクソ坊主!思わせぶりもいいとこじゃん!」


「ク、クソ坊主言わないっ!」


「だってそうじゃん!ってか何でアンタは怒んないの!?普通怒るでしょ!しかも魔が差したって、舐めとんのか我って感じ!」



……あーあ…。

絶対こうなると思ったから、ユキには中々言えなかったけど、ユキを翡翠様に会わせるのだけは絶対に止めておこう。平手が飛ぶかもしれない。


私が隣で必死にユキを宥めていると、ユキがダンッとビールのジョッキを置いた。



「もうやめたら?九条課長にでもしておきなよ。」



突然会話の流れにそぐわない人物の名前が出てきて、はい?と枝豆を摘まむ手を止めた。



「なんで、九条課長が出てくるの?」


「はぁ?小春まだ気付いてないの?九条課長見てれば一目瞭然だけどね。アンタの事が好きな事くらい。」


「…は?ハァ!?九条課長が私を!?ナイナイ!そんなのあり得ない!!」



慌てて首を横に降る私を見て、ユキが深い溜息を吐いた。

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