7.98回目の返事

第66話

あんなに毎日避けられて、翡翠様に会いたくて堪らなかったのに、今はこの場から逃げ出したくて堪らない。


それは、何を今から言われるのか。


きっと私がもう知っているから。





「小春さん、今、少し宜しいですか?」




こんな時でも穏やかな翡翠様の声に、思わずビクッと肩を揺らしてしまった私は、黙ってコクンと頷いた。


それを合図かの様に、玉瑛君と秋明さんが私から離れていく。


玉瑛君は、とても心配気な顔で。

秋明さんは、少し優しく笑って私の頭を撫でて、二人とも去って行く。



翡翠様の後ろに視線を向けると、もう彼女はいなくなっていて。


もうこの場には、私と翡翠様の二人しかいない。



何を言われるかなんて、想像は出来ているのに、いざとなると怖くて堪らなくて。


翡翠様に振られるなんて、今に始まった事じゃないのに、今までとは明らかに違うんだと、聞きたくないのだと、私の頭が警告音を鳴らす。

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