第50話

「お疲れ様ですー。」



そう言って二人に近付くと、秋明さんはいつも通りだったけれど、玉瑛君は私を見て明らかに動揺しているように見えた。


え、え?

なんだろう、この雰囲気は。


玉瑛君は一瞬明らかに、『ヤバい』って顔をした気がする。



「えーと、あの、何かありました?」



そう聞いた私の言葉に、秋明さんは盛大に溜息を吐いた。



「玉瑛、隠してやりたいのであれば、その顔はどうかと思うぞ?」


「…すみません、不意打ちだったもので、つい。」



申し訳なさそうに私に向かって、玉瑛君が頭を下げた。



「え…何が?」



小首をかしげた私に、秋明さんがニヤリと笑って近付いてくる。



「知らん方がワシは小春ちゃんの為だと思うが、それでも知りたいか?」



ええぇ!?


そんな言われ方したら、余計気になるんですけどっ!!


ドギマギしながらも気になったので、ゴクリと唾を飲み込んでコクンと頷くと、玉瑛君が秋明さんに非難めいた視線を向けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る