第14話
「皆さん、おはようございます。副住職の翡翠です。本日は朝早くから当寺院に御足労頂き、誠にありがとうございます。」
そう翡翠様がにこやかに微笑むと、声にこそ出してはいないけれど、みんな心の中で悲鳴をあげているのが見て取れた。
わかる、わかるわー。
あんな笑顔を自分だけに向けられたなら、もう何もいらないって思えるよね、本当。
いつもは前列の席に座って聞くので、一、二度くらいは翡翠様と目が合う。
でも今日は、こんな見えるか見えないかのところだし、翡翠様の法話が聞けるだけで良しとしなければ。
ーーなんて、そう思った瞬間、
翡翠様と目が合った。
それだけ、たったそれだけの事なのに、嬉し過ぎてドクドクと心拍数が一気に上がる。
本当、思春期真っ盛りな中学生か、って自分で自分にツッコミたくなるような状態だけど、心は正直で頬はゆるゆると緩んでいく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます