第4話

特に何かを期待していた訳ではないけれど、自分自身が淀んでいる今、少しでも綺麗な空気を吸って、内の中のものを吐き出したいと思った。



静かな参道を歩いているだけで、不思議と心が洗われていく気がした。


山門をくぐって境内に入り本堂に向かう。

大きなお寺なだけあって、参拝客がちらほら見える。


何故か若い女性が多いのが少し気になったけれど、構わず本堂に向かった。


賽銭を入れて静かに合掌していると、何故か自然と涙が溢れてきた。


正直、最初は絶対に許せないと思った。


けど、時間が経てば経つほど、寂しくて悲しくて苦しさが募った。妊娠が嘘であればいいのにって、今戻って来てくれたら許せるのに、って。



でもどうやら彼は、結婚式を挙げるらしい。


私と見に行った式場で。


あそこはかなりの人気式場だったから、半年先まで予約がいっぱいで、それでもそこで半年後に式を挙げるらしく、同僚と笑って話す彼を見た次の日から、有給を使って会社を休んだ。

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