第2話
「その者はきっと、あなたに興味が無いのでしょう。世の中は広いのです。もっと視野を広げるべきです。」
あくまでも翡翠様が穏やかに言いながら、私の引っ張る裾をグイっと引っ張り返す。
「嫌ですーっ!!興味を持ってもらうには、どうしたらいいんですかー!!」
それでも引かない私に、翡翠様は私の手首をグッと掴んで少し自分の近くに引き寄せた。
「そうですね。先ずはもう少し、女性磨きをされた方が良いでしょうね。」
「……!!」
私の顎をクイっと少し上に持ち上げて、小さく左、右、と顔を動かされて観察される。
あああっ!!翡翠様に顎クイされてるーー!!
毒を吐かれているにも関わらず、顎に触れる翡翠様の手と、少しだけ近い顔にドキドキと胸が高鳴って、顔が真っ赤に染まっていく。
フッと、少しだけ翡翠様が笑った。
「唇に、青海苔が付いてます。」
「!?」
ぎ、ぎゃあああああああああっ!!!
はず、恥ずかし過ぎるーっ!!!
目を見開いて、一瞬で耳まで真っ赤に染まった私は、バッと口元を両手で押さえて翡翠様に背を向けると、来た道を一直線に駆け出した。
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