第63話
「七瀬っちって言えばさー」
南さんが少しだけ声を潜めて、周りの席を見渡した。
まだ七瀬の事で何かあるのか、と少し心持ち身構えていると、意外にも七瀬以外の人物の名前が出てきた。
「一課の吉田ちゃん。絶対七瀬っちの事好きだよね。アレは結構マジで。」
「えー、それはないでしょー。だって七瀬っちが女に興味無いのは周知の事実じゃん?不倫じゃないけど、同じくらい不毛じゃない?」
私も一瞬、美香と同じ感想を持った。
私が知る限りでも、七瀬が女の人と付き合ったなんて話聞いたことない。それと同じくらい、吉田さんだって七瀬の実態を知ってるはずだ。でも、南さんは裏付ける情報を知っているのか、話を続ける。
「昨日、夕方急遽会議が月曜日になったでしょ?七瀬っち出先から直帰になってたから、吉田ちゃんが連絡入れるって言ってたみたいなんだけど、連絡しなかったみたいで、今朝連絡するの忘れてたからって、吉田ちゃん朝早くから七瀬っちの事わざわざ待ってたみたいでさー」
あ、だからか。
七瀬は会議の変更の事知らなかったんだ。
違う意味で、少しホッとしてる自分がいた。
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