第49話

しばらく七瀬に説教されつつ進んでいると、ナビが静かに目的地に到着した事を告げる。

と、同時に、七瀬がブレーキを踏んで溜息と一緒に呟いた。



「しょうがないわね、付き合ってもいいわよ」


「え?」



一瞬また、心臓がドキリと跳ねた。



「アンタの嘘に、よ!」



あ、ああ、そっか、うん、だよね。


一瞬違う想像をしてしまった私は、恥ずかしさを誤魔化す為に慌てて聞き返した。



「で、でも、いいの?」


「二階堂君を煽ったのは私だしね。それに、アレは相当しつこいわよ、きっと。だから、二階堂君が七美を諦めるまでは付き合ってあげるわよ。」



七瀬が呆れたように肩を竦めながら私の方を見た。



「それに、七美、私が居なかったら絶対、二階堂君のペースにのまれてまた付き合ってたでしょ?」


「…んー?」



正直、そこは何とも言えない。

確かに、心動かされそうになってた自分も居たけど、同じ過ちを繰り返したくないって思ってた自分も居て。

どっちにしろ、七瀬に助けられたのは間違ってはいないけれど。

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