明治に転生した令和の歴史学者は専門知識を活かして歴史を作り直します
織田雪村
第1話 再び核攻撃された日本
俺は歴史学者だ。
年齢は60歳。
専門は近現代史で、この分野は学会に巣食うマルクス礼賛者に曲解されて「汚染」されやすい時代区分だ。
俺の信条としては歴史学の本分に立ち返り、可能な限りイデオロギーを排除したニュートラルな姿勢を重視していたつもりだが、お陰で左派系メディアや同業者からは右翼呼ばわりされることもあった。
しかし俺は学者としての信念を曲げるつもりはなく、決して歴史学の多数派ではなかったが、ささやかながら研究に打ち込み、たまに本も出版する。
そんな生活だった。
そんななか2026年、ついに中国が台湾と尖閣諸島へ侵攻してきてしまった。
それに呼応するように北朝鮮とロシアが日本へ宣戦布告すると共に、中東方面でも戦火が激化し第三次世界大戦へと拡大していく事になってしまう。
中東問題が予想以上にこじれた事で対応に追われた米国に余力がなくなり、日米安全保障条約に基づく米軍の対中露北への参戦は当初なされ無かったが、それでも自衛隊の死力を尽くした奮戦により中露海軍に甚大な損害を与え、日本本土と台湾への上陸は辛うじて防いだものの、民間人を含めて多大な犠牲者を出してしまう。
その後に中東問題を抑え込んだ米国と西欧諸国および印豪の参戦により、中露北の3ヶ国を降伏に追い込むことが出来たのだが最終局面では双方による核兵器の応酬という事態になり、日本もまた核攻撃を受けて更に膨大な犠牲者が出るに至る。
最終的に民間人を含めた全世界の死傷者は第二次世界大戦を凌駕する事になってしまった。
また結局のところ北方領土と樺太は奪還できず、在日米軍基地もそのまま維持され、実質的にアメリカに軍事占領され続けるという日本にとって痛みしか残らない結果となりとても戦勝国側とはいえない状況だけが残された。
俺は開戦直後に不治の病に罹り、終戦を見届けた後に死を迎える。
死の直前「なぜ世界はこんな事態になってしまったのか?なぜ日本は再び核攻撃を受けてしまったのか?
根本的な原因は第二次世界大戦の結果が原因だ。もしも生まれ変われるならこの歴史をぶち壊して世界を作り変えたい!」
と憤りつつ意識が途切れた。
しかし次に目覚めた時に俺は全く違う人間へと転生したことを悟るのであった。
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