第82話

「浮気されたって…悲観するのはまだ早くない?そんなつもりじゃないのに、浮気だって決めつけられたら…柚希だって嫌でしょ?泣くのは凛くんにハッキリ聞いてからにしなよ。今の柚希、ただ逃げてきただけでしょ?」




『─…真琴っ、』




「凛くんと、ちゃんと話し合っておいで。ついでに会えたら有沙って奴にサクッと謝って来い!それでもダメだったらその時は、私がいくらでも慰めてあげるから」





正々堂々、振られて来い─…っと言って、背中を押された私は、真琴の家を追い出されてしまった





それが彼女の優しさだって分かるから…再びインターホンを押すようなことはしない





スマホを取り出して凛くんに連絡を入れようとすると、画面が凛くんからの着信の文字で埋め尽くされている。





中にはメッセージもいくつか来ていて─…





【ゆずちゃ、どこっ?!】


【なんででんわでないの?】


【マンションの下にいる待ってる】


【まだ帰ってないの?外にいる?】


【ちゃと話し合おう?】


【ごめん、もういいから。俺が悪かった】


【お願いしますでんわ出てください】


【既読だけでもつけてしんぱいしてます】





ところどころ誤字のある文面を見て胸が締め付けられる。ほんと、イヤになるよ。



凛くんが好きすぎて、苦しい。

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