罰ゲームで告白しダウナーギャルと付き合いだして1年、いまだにキスすらしていません

田中又雄

第1話 ギャルとの1年記念日

「...1年だね。それで...その...これ」と、1年記念日に俺は彼女が欲しがっているらしい、ブランド物の財布をプレゼントした。


「...え?何で知ってるの?てか...これ高かったでしょ。え、私...何も用意してないんだけど...」と、困惑と喜びが少し漏れている彼女。


「あっ、えっと...佐藤さとうさんから聞いて...。これ欲しいって言ってたって...」と、彼女の友達の名前をあげる。


「...ありがとう。嬉しい...。ちゃんとお返しするから...。バイトの給料日まで待って?」


「い、いや!無理しなくていいよ?これは俺の気持ちであって、その...別にお返しとかは...」


「そういうわけにいかないから。とりあえず、楽しみにしておいて?...んで、ありがとう。...大好きだよ、友樹ゆうき


「お、俺も...好きだよ...メアリ//」と、1年も付き合ってるくせに今だに好きと言うのに照れてしまう自分が情けない。


 いや、情けないというならもう一個ある。


 彼女と付き合い始めてから1年...。

俺たちはまだキスすらしたことがなかったのだ。



 ◇1年前


「はーいw小野くんの負けぇ〜wさぁてー、今日の罰ゲームは...告白行っちゃおっか!w」と、言われる。


 高校に入学して早々、クラスの陽キャである若月わかつき 将吾しょうのごが率いるグループに何故か目をつけられ、いじめを受けていたのだった。


 現在は5月15日。

ゴールデンウィーク明けから早速、昼休みに教室でいつも行われている陽キャ主催の男子だけのトランプ大会に強制参加させられ、わざと俺が負けるようにみんなが八百長し、無事敗北。


 パシリ→授業中に大声で叫ぶ→土下座している写真を撮られる...と、だんだんエスカレートしていく罰ゲームは、いよいよ告白の段階へと進んだのだ。


「こ、告白...?」


「おうw相手は早山はやま メアリでなwちゃんと、撮影してSNSで晒してやるからちゃんとやれよ?」


 早山メアリ

我がクラスの女子クラスカースト1位の女の子。



【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093085278064760


 見た目は白髪で短めの髪に、顔立ちは名前から分かる通り、ハーフっぽくさらに整っている。


 喋り方はもちろんギャルっぽい感じであるのだが、基本ローテンションというか、ダウナー系というのだろうか?


 そんな落ち着いた雰囲気もあって、ギャルの中でもトップの座に君臨しており、男子からの人気もかなり高かった。


 というか、若月もこの早山さんに気があるからこそ、俺を介してちょっかいをかけているのであろう。


 さて、そんな感じで後ろからスマホで撮影されながら、俺は彼女のいるところに向かう。


 いつも4人でつるんでいるわけで、当然現在も4人が集まっていたのだ。


 そうして、何かしらの話で盛り上がっているところに「あ、あの...」と、声を上擦らせながら声をかける。


 すると、早山さん以外の3人がこちらに目を向ける。

早山さんはこちらを見ずに携帯をいじっていた。


「...何?今盛り上がってるところなんだけど。てか、誰?」と、佐藤さとう 雪奈ゆきなさんという金髪ギャルがこちらを睨みつける。


「...えっと...は、早山さん!好きです!つきあってください!」と、大きな声で言った。


 すると、ようやく早山さんは顔をあげて、「...いいよ。付き合おっか」と言った。


 その瞬間、教室は割れんばかりの歓声が上がった。


 そうして、なぜか俺は彼女と付き合うことになったのだった。

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