煙海より来る

木菟斗

プロローグ

はじめに


 これから語るのは私が若い頃体験した物語の追憶である。


 私はこの話をずっと心の奥底に隠してきたが、ある人物に頼まれて当時の手記と共に見直すこととなった。


 この物語で語られることを信じるか信じないか、はたまた事実か創作かを読者諸君がどう決めるかは私には分からないし何とも言えないが、どうでもいい事だった。私はこの話を見直すことなった時には若くなく、長くもなかったのだから。


 だが、この話で語られることは嘘偽りない事実であり、誇張もない。この話を読む読者諸君がどんな人々か分からないが、私が生きる世界で起きた確かな史実であり、この世界を生きた者としてその史実を語る権利がある。


 そう、これは蒸気機関技術の繁栄の代償に大地を失い空に生きる事を選択した世界で起きた物語。


 排煙の海原の深淵に眠る世界の真実と陰謀に挑んだ者たちと出会い、共に生活して体験した神秘と驚異に満ちた実体験の記録である。

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