十八になった僕たちは

旅立ちの気配を夢に見る

「でも、病気じゃない人には、わからないわね。あたしに与えられたリストは、病気、病気、病気、これだけ。自殺する権利もないのよ。だって、自殺したって、病気のせいだと思われるでしょ。自殺って、元気な人がやらないと、誰も驚かないものね」――――三田誠広『いちご同盟』



 もちろん必ずしもそうとは言えないし、何にも例外はあるものだが、十五歳や十八歳は人生にとって重要な年齢だ。僕はそれ以降の年齢をまだ経験してないので軽々しくそう言い切ってしまうことはできないが、二十歳や三十歳といった年齢よりも大きな意味を持っていそうに感じるのは、僕がまだ十代だからだろうか。


 僕はいまファミレスにいる。全国チェーンのファミレスで、この辺りではここに一軒しかない。テーブルを挟んで反対側に、五十嵐がいる。ファミレスは彼の通う桜花高校の近くにあった。桜花高校の学生服を着た生徒たちの姿が散見される。ファミレス自体は誰が利用してもいいはずなのだが、なんとなく別の学校に通う自分がその場にいてはいけない気持ちになってくる。


 今日は七月二日。お互いの放課後の時間に合わせて、彼と待ち合わせた。先日、夏風と別れた後に五十嵐と再会してから、二日が経っている。


「悪いな。急にどこかで話したい、なんて」

 本当に悪いとは思っていないような笑みを浮かべて、五十嵐が言った。駅で先日再会した五十嵐から、『今日はちょっと用事があるから無理なんだけど、今度どこかでふたりで会えないかな。きみに会ったら、話したい、と思ってたことがあるんだ。七月の二日で、どうだ』とこっちの了承も聞く前に、彼がこの店での待ち合わせを決めてしまった。こんなにも強引な奴だったかな、と驚きつつも、断る理由はなかったので、僕は今、ここにいる。


 しかし三年も会っていなかった相手に、会ったら話そうと思ってたこと、なんて絶対ないだろう、という気はする。


「別にいいけど、ただここは桜花の生徒ばかりで落ち着かないよ。なんだかライオンの群れの中に混じった猫みたいな気分がする」

「いや、俺もあんまり待ち合わせにいい場所も知らないから、許してくれ。あとその比喩、なんかぎこちないな」


 七月を過ぎて、暑さはさらに増し、窓越しの空を見上げれば、強い日差しに映える入道雲が浮かんでいる。


「しかし暑いな」と五十嵐が言った。

「暑いの強くなかった、っけ?」

「そんなこと言ったことあったか?」

「確か」

「曖昧だな」

「曖昧になるくらい会ってなかった、ってことだよ」

「それもそうか」


 五十嵐との中学校の頃の記憶を振り返ってみる。彼は頭が良く、運動神経も良かった。陸上部に所属していて、短距離で市の歴代記録か何かを持っていたはずだ。小学校は別で、中学二年まではクラスも違っていたので、僕にとっては、名前だけを知っている同級生で、それ以上でも以下でもなかった。


 彼と関わりがあったのは、お互いが十五歳、中学三年の一年間だけだ。僕たちは同じクラスで、席替えが何度もあったのに、席はつねに隣同士だった。これは誰かの陰謀かもしれないな、と五十嵐が笑いながら言ったことがある。


 仲は悪くはなかった、と思う。ただ特別仲が良かったか、と聞かれれば、僕は首を傾げるはずだ。分け隔てなく、という言葉が似合うくらい、彼は誰とでも似た温度感、似た距離感で接することができる性格だったので、僕だけが特別仲が良かったとは思えない。


 だからこそ、あの日、僕は驚いたのだ。

『俺、人生は十八歳までで良いかな。それ以降はなんだか、惰性にしかならないような気がするんだ』

 と深く思いつめたような表情を浮かべて、僕の前で、そんな言葉を漏らした五十嵐に。


 僕だけに言ったわけではなく、誰にでも言っているのだ、と最初は思っていたのだが、誰にも言わないでくれ、と最後に告げた五十嵐の表情は、本気で誰にも言って欲しくなさそうだった。


「その顔は、俺との思い出を振り返っているな」

 冗談めかしたように、五十嵐が言う。


「まぁ、そうだな」

 隠す必要もないので、僕は頷く。


「十五歳か。まだ、たった三年と思うべきか。もう三年も経ったと思うべきか」

「まだ、たった三年だよ」

「なぁ覚えてるか。俺が三年前に言ったこと。って、まぁ覚えてるよな。さっきの顔は、その言葉を思い出していた顔だ。俺はひとの心が読めるから」


 五十嵐との過去で一番印象的な会話が、それなのだから、ひとの心が読めても読めなくても、思いつくのは、それしかないだろう。そしてもちろん、五十嵐はひとの心なんて読めない。僕は五十嵐の心なんて読めないが、それくらいは分かる。


「生きてるな」

「今は、まだ」

「これから死ぬみたいなことを言うなよ」

「だって俺はまだ、十八じゃないから。あと一週間後なんだ。生まれた日がやってくる。一週間後で、俺は十八になる。ちょっと怖くなってる自分がいる」

「怖いなら、それは」

 僕が続けようとした言葉を、彼が手のひらを前に出して、制止する。


「それは短絡的すぎる考えだと思う。あの時の言葉を、俺はまだ違える気はないよ。きみにこの前会って、俺は改めてきみに決意表明したくなったんだ。俺の心は決まった、ってな」

「せっかく僕なんかより、光り輝く未来が待っているのに?」

「なんで、そう思うんだ?」

「だって県内で一番有名な進学校に行って、これから良い大学に行って、有名な企業に就職したり……」

「それ、本当に光り輝いているのかな?」

「すくなくともこれからどうすればいいか分からずに、ふらついている僕よりは」

「まぁいいや。仮に、それが輝く未来だとしておこう。でも今の僕の学力なんて、きみは知らないだろ。どんなに周りから、『すごい!』って褒めそやされる環境にいたって、どんな環境だって、絶対にそこからこぼれ落ちる人間は出てくるし、いったんこぼれ落ちた人間は悲惨だよ。もうとっくに他の学校のひとたちに追い抜かれているのをなんとなく自覚しながら、認められなくて、肥大したプライドだけが残っている。ほら、劣等感の塊が出来上がりだ」

「もしかして受験勉強、うまくいってないのか?」

「まともに勉強なんてしてないよ。だって、俺の人生は十八までなんだから」

「本気なのか……」

「さて。正直、悩んでる部分がない、と言えば、嘘になる。たった一点。俺はその一点を拭い去りたい、と思っていて、ちょうどその時に、きみと出会った。きみに決意表明でもしてみれば、すこしは気持ちも固まるかもしれない、って感じたんだ」

「僕を使わないでくれ」


 しかし、と僕は思った。彼はこんなにくどい言い回しを好むような奴だっただろうか。だけど僕が知っているのは、十五歳の時の彼だ。三年、それも高校の三年間ならば、性格もそれくらい変えてしまうのだろう。自分自身や毎日会っているクラスメートだと気付きにくいが、このくらい空白期間があると、はっきり分かってしまう。


「仕方ないだろ。あれを話したの、きみと他にもうひとりしかいないんだから」

「今更なんだけど、なんで僕に話したの?」

 他のもうひとりが誰かも気にはなったが、それ以上に、僕は三年前からの疑問を聞くことにした。


「なんでだろうな。まぁでも日比野に自覚があるかどうかは分からないけど、なんかきみは話を聞いてもらいたくなる雰囲気があるんだ」

「でも聞いても、何も答えを出せないよ」

「たぶんそういうところがいいんだよ。安易に答えを出すような奴なんて信頼できないし、そういう奴には口が裂けても、仮に拷問を受けたって言わない」


 はっきりと覚えているわけではないのだが、あの時も夏頃だったような記憶がある。夏休みが終わって間もない、確か夏も終わりの時期で、部活の試合で片足を怪我した彼は、軽く引きずるように歩いていた。悪気もなくからかう周囲の声を笑って受け流していた彼の姿が、頭に残っている。


 一緒に帰らないか。

 と放課後、学校を出ようとする僕を、彼が呼び止めたのだ。


「足、大丈夫なのか? 結構、長引いているみたいだけど」

「いや、あれはもう治っているんだ」

「そうなの?」

「一ヶ月以上前の話なんだから、もうとっくに。これはただ遊びのサッカーで、足を捻っただけだよ。 引退しても、やっぱりちょっとやりたくなる時、ってあるだろ」

 五十嵐はサッカー部で、県大会は一回戦で大敗したそうだ。五十嵐自身は県内でも、かなり上手かったらしいが、チームスポーツなのでひとりの力だけではどうにもならないのだろう。


「なんだ」

「だから周りもからかってくるんだ。試合中の怪我なら何も言ってこないよ。そこまで悪意に満ちた連中じゃない」

「どっちにしても怪我は怪我じゃないか」

「まぁ、それはそうなんだけど」

 僕たちの中学校は海沿い近くにあり、防波堤のある道を歩いていた。


「高校もサッカー部に?」

「いや、それはいいかな」

「別にやりたいことでも?」

「いや、全然ないよ。そんなの。ただ、うーん……」とすこし言いよどんだ後に、「日比野なら、まぁいいか」と続けた。

「なんだよ」

「俺、人生は十八歳までで良いかな。それ以降はなんだか、惰性にしかならないような気がするんだ。なのにその手前の三年間で部活に打ち込むなんて柄じゃない」

 脈絡もなくて突然すぎて、僕は一瞬、まったく理解できなかった。ただ、さらりとして、妙に五十嵐に似合っていた。


「なんで、だよ」

「日比野はない? そんなふうに思ったこと」

「ない、かな」

「そっか……。あっ、ちなみにこれ誰にも言わないでくれ」

 と唐突にはじめて、この話はすぐに終わった。


 あの日急にそんな話をはじめた男は十八歳を前にして、ドリンクバーから持ってきたコーラを飲んでいる。本当に死ぬつもりだろうか。あんな会話をしてから、三年も経ってしまったわけだ。


「今のきみを見ていると、そんなことをもうじきするようには思えないけど」

「『死ぬ死ぬ』と分かりやすい行動を取って、他人の気を惹くためだけに、殊更に言う奴らだけが、死を選ぶわけじゃないよ」


 辛辣な言葉だった。ただ五十嵐が〈奴ら〉と評したひとたちと彼の間に、そんな違いがあるとは思えなかった。僕が五十嵐の人となりを多少知っているから、本気なのだろう、と感じてしまうだけで。暗に、止めるなよ、と言いたいのだろうか。


「じゃあ、もうひとつのほうを聞くよ。その、たった一点。五十嵐が悩んでること、って?」

 五十嵐がちいさく、ひとつ息を吐く。


「まぁたいしたことじゃないんだけど」

「うん」

「もうすぐ惰性でしかなくなるはずの人生で、好きな子ができたんだ。これは大変困ったことだ」

「良かったじゃないか。じゃあ、もう惰性じゃなくなる、ってことだよ」

「きみみたいに思えればいいんだけどな。俺はどうしてもこう考えてしまうんだ。好きな子を作ることで、それ以降の人生を惰性ではなくしたい、と思ってるんじゃないか、って。因果が逆なんだ」

「意味が分からないよ」

「分かるほうが変なんだよ。そしてそれは彼女に対して、とても不誠実な気がするんだ。十八でなかったら、俺は彼女を好きになっていなかったかもしれない。そんなものを、本当に恋と呼んでいいのだろうか」


 もうすこし軽口混じりに彼が言っていたなら、ただ拗らせているだけだよ、と笑って返したかもしれないが、どう見ても、今の彼は冗談を抜きにして言っている様子だったので、僕は何も言えなかった。


 僕の相槌がなかったことを気にした様子もなく、彼が続ける。


「きょう、実は彼女を呼んでるんだ」

「えっ」と僕は困惑してしまった。こんな話を聞かされた後に、好きな子を紹介される、というのも変な話だ。僕はどんな顔をして会えば良いのだろう。「どんな子――」

 と聞こうとしたところで、カランコロン、とお店の入り口が開くチャイムの音が鳴って、何気なく入り口を見ると、長い髪を茶に染めて、すこし派手な見た目をした女の子が入ってきた。制服からすると桜花高校の生徒なのだろうが、僕のイメージにある生徒像からはかけ離れた外見をしている。


 その子を見て、五十嵐が手を挙げる。

 彼女が五十嵐の隣に座る。


「彼が、前に話した日比野だよ。結構仲が良かったんだけど、中学を卒業してからは全然会わなくなって。まったく友達甲斐のない奴だよ」

 と五十嵐が彼女に言った。結構、と付けるほど、僕たちは仲が良かっただろうか、という気もしたし、会おうとしなかったのはお互い様じゃないか、なんて気持ちにもなるが、『前に話した』というくらいだから、意外と本心なのかもしれない。


 彼女が薄く笑って、よろしくね、と言った。派手な外見に似合わない、と言ったら失礼になるかもしれないが、消え入りそうな声だ。


 彼女がどんなひとかを五十嵐が説明する間、彼女は口を挟まず、にこやかな笑みを浮かべていた。自己主張が苦手なのだろうか、と考えて、まぁ僕もあまりひとのことは言えないか、と思い直す。


 彼女の名前は、渡辺明日香さん、というらしい。語感の良さから、僕は頭の中で明日香さんと呼ぶことにした。もちろん本人に対して口に出す時は、「渡辺さん」だ。ほとんど知らない男子に下の名前で呼ばれるのは嫌だろうし、僕としても照れくさい。あんまり学校生活がうまくいかず、悪い仲間とつるむようになっていたのだが、三年生になってこれはまずい、と思って、必死に勉強をはじめたそうだ。勉強を教えてもらう相手として五十嵐に白羽の矢が立ち、仲良くなった。これが五十嵐から聞かされた明日香さんに関する情報だ。もちろん五十嵐が嘘をついているとは思わないが、ただ本人の口から何も発信がないので、多少、眉に唾をつけて聞くことにした。


 格好で他人に偏見を持つのは、あまり褒められた行為ではないと知ってはいるが、それでも外見や格好も視覚から得られる重要な情報のひとつだ。確かに、『悪い仲間』と言われると、その派手な格好にも納得できるものがある。ただ何故、彼女は必死に勉強をはじめよう、と思ったのだろう。もちろん、『なんとなく』なんていう動機もあるだろう。ただそれだけではない気がした。


「ちょっとトイレに」

 と五十嵐が席を立つ。明日香さんとふたりきりになる。


 さすがに初対面の相手とのふたりきりになるのは気まずいよ。心のうちで、トイレに行った五十嵐に文句を言う。


 沈黙が僕たちの間を支配する。


 五十嵐が戻ってくるまで、このまま無言が続くのかな、と思っていると、突然、明日香さんが口を開いた。


「私たち、たぶんですけど、同じ秘密を共有してるんですよね」

「秘密?」

「俺の人生は、十八まででいい、って。私以外にもうひとりに話した、って。私、あなただって確信しているんです」

 他にもうひとり、というのは、彼女だったのか。まぁでも僕と違って、明日香さんは適任というか、その話を聞くべき人間だ。


「死ぬ死ぬ、って言って、『死んでやる詐欺』みたいなことをするひと、っているでしょ」彼女の口調がすこし砕けたものになる。もしかしたら僕に対する警戒を解いたのかもしれない。「あっ、もしかしたら日比野くんの周囲にはいないのかもしれないけど。結構いるんだ、そういうひと」

 つい先ほど五十嵐に対して、似たような感覚を抱いたことは黙っておくことにした。


「たまに、いるかな。あんまりいないけど」

「そっか。まぁ他人事のように言ってるけど、私にも身に覚えがあって。……さっきトーヤくんが言ったこと、嘘なんだ」

 トーヤくん。彼のことをそう呼んでいるのか。好きな子、と彼は表現したが、もう恋人同士なのかもしれない。呼び名だけでそう考えたわけではない。口調から親しげな雰囲気が滲み出ていた。


「嘘?」

「あぁ、うん……厳密には嘘じゃないか。ただ大事な部分は抜けている。自分で言うのもなんだけど、私、これでもちょっと良いところのお嬢様で、その反抗だったのかな。悪い子たちとつるむようになって、それで厄介事に巻き込まれたんだ。なんかすごくステレオタイプでしょ。こういう自分も嫌い。そんな私を彼が救ってくれた。そこから学校にもちゃんと通うようになったんだ。彼に勉強を教えてもらって、私が必死に勉強に取り組むようになったのは、彼に近付きたくて。もうどうしようもない、ってほど不純な理由だよ。笑っちゃうでしょ」

「そうだったのか」

 ただ確かにそういう理由だったなら、彼女を嫌な気持ちにさせないために、表現を変えた五十嵐の気持ちも分かるような気がした。


「私にとって彼は特別なひと」だから、と彼女は続ける。「もし彼が本気なら、いやたぶん彼のほうは本気なんだろうけど、ね。それくらいに特別なひとだから、私は彼に付いていってもいい、と思っている。……なんて、結局、私みたいな半端な人間は怖くなって逃げ出しちゃうかもしれないけど、ね。私は情けない人間だから。本当、それだけが心配かな」


 いっそ逃げてくれ、と思った。死ぬくらいなら、逃げてくれ、と。この世の不快なすべてから。半端で何が悪い。それに本気で想っているなら、本気で止めてやれよ。僕の心のうちで反響していた言葉は怒りをともなって、だけど吐き出す場所を見つけられず、そこに留まったままだった。怒りを覚えたのも、それを吐き出せなかったのも、怖かったからだ。ふたりに共感してしまうことが。


 死を簡単に扱うな!


 それは僕の怒りでもあり、何故かこの場にいない夏風の怒りでもあるように思えた。


 僕にとっては怒りでもあり、祈りでもあった。

 何も言えずにいる本当に情けない僕の、祈り。

 五十嵐が戻ってくる。おっ、なんだ、すこし打ち解けてる感じだな、と嬉しそうに言った。僕たちの会話を知らない彼は死を控えていると思えないほど、のほほんとしていて、恨み言でも言ってやりたい気持ちになった。僕の怒りはすべてお前が起点になってるんだぞ、と。だけど何も言わなかった……言えなかった。


 僕たちは支払いを済ませて、僕たちは外に出た。彼らと別れる。

 緋色に染まった夕暮れは、夏に似合わず、普段よりもどこか暗く澱んで見えた。


 その夜、続きを読むはずだった『いちご同盟』はまったく進まなかった。こんな時に、〈自殺〉なんてワードは絶対に見たくなかった。


 僕は夢を見た。

 電車をまったく使わない僕は、何故か駅のホームのベンチに座っている。外が真っ暗な時刻だ。ぼんやりと眺めていた向かい側のホームに、突然、五十嵐と明日香さんの姿が現れる。ふたりは手を繋いでいて、そのふたりの前に電車が止まる。電車によって、ふたりの姿が隠れる。そして電車は発車する。空へと向かって、飛び立つように。向かいのホームに誰もいなくなっている。起きると、僕は泣いていた。

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