異世界に転生したと思うんだけど、貴族として正しい行いをしたら、完全なアウェイな学園生活を送ることになりました。
ろんどんべると
第1話 「ここはどこ?私は誰?」
異世界転生と言えば聞こえはいいが、転生先によっては必ずしも良いとは言えない。特にTS(性別転換)した場合、前世で厨二病にかかりオタク道を極めていた喪男の私にはハンデしかない。TSしたことを楽しんでいるんじゃないかって?それは、前世は男だからTS後の自分の"ピー!!"を"ピー!!"してみたなどと…
コホン!!
そんなことはない…と思う。
自分の体がどうなっているかはチェックしたけど(後は想像にお任せします)。
話が逸れてしまったが、私はよくある転生の時のような神様などには会っていないし、いつ自分自身が死んだのかも覚えていないんだよね。
さてと、フランメシア大陸で有数の大国コーデリア王国に、私がセーラ・アシュラ3歳(残念、5歳じゃないんだな)としてTS転生したことに気が付いたのは、ベッドから目を覚ました時だった。
「ここはどこ?」
見たことのない部屋。
「え?」
驚いて起き上がると幼女になっている。
「なにこれ〜!!」
私の叫び声に気づいたメイドらしき人が駆け込んできた。
「お…お嬢様!!」
起きている私を見るや否や「旦那様!!お嬢様が〜!!」そう叫びながら部屋を飛び出して行った。すると、バタバタと両親と兄弟らしき人物がこの部屋にやってきた。
「セ…」
私が起き上がっているのを見たパパが
「セイラ〜!!」
私を抱き抱えた。この時に私がアシュラ準男爵家の三女で、名前はセイラ・アシュラ3歳であると記憶が蘇り、私と同化したんだけど、ちょっとなんとかしてほしい。髭面のパパに抱きつかれ、チクチクするヒゲをジャリジャリ当てられながら頬ずりされている。
「痛い。痛い!」
私の声に気づいた父は、バカでかい声で
「医者だーー!!医者を呼べーー!!」
「パパー!!違う!!違うの!!」
叫ぶ私の声はパパには届かない。それよりももっと馬鹿でかい声で、「医者を!!医者を早く!!」と私の耳元で叫びまくっている。耳が痛いよ。
えっ?まさか?
ひぇぇえええ!!
なんとパパは私をラグビーボールのようにポイっとママにパスして、「遅い!!俺が呼んでくる!!」そう叫んで部屋を出て行った。
先生は来たけど、どこも悪くないことがわかり、みんながホッとする。
なぜこうなっているかと言うと、今日は聖マリアンヌ教の教会で加護を確認する日、聖マリアンヌの使徒の一人、聖ナナゴサンの日で、この時に使用する魔道具に手をかざした瞬間に泡を吹いて気絶したらしい。
こうして今に至る。
「よかった」(たぶん、目を覚ましたからだと思うんだけど)と安堵したかと思うと、そこにいた全員の雰囲気が暗くなった。
背景がどんよりとした模様になるとともに"しーん"という文字が出ていて、みんなの顔も目の辺りまで陰になっている。
私はどうすることも出来ず、辺りを見回すしか出来ないでいると
「セイラ、すまん」
父の言葉に次いで母が
「ごめんね。セイラ」
なぜ謝る?いきなり謝った二人に続いて、兄弟達が
「神様の加護がなくても大丈夫だから」
つまり、私は転生したんだけど加護なし、魔力は1の光属性のようだ。
後で知ったんだけど、この世界ではほとんどの人が何らかの加護を持っていて、その加護で人生が決まる。だから加護なしは無能者扱いになる。
それともう一つは、人間が保持できる魔力量は非常に少ない。魔導士団長クラスでも50、なので10あればいい方で、それを補っているのが加護になる。私の父は加護のおかげで準男爵まで上がっている。魔法の属性に関しては原則一人1つしか持てない。火、雷、水、土、風、聖属性は優遇されているが、光属性はライトを照らすくらいしか用途がない為、冷遇されているというより魔法として認められていない。
加護もない。魔力もない。属性は光。という私は無能の中の無能ということになる。だから、転生TSしたけど、こんな状況でどうなるんだろう。
⚪︎
「今日は遅いからおやすみ」
そう言ってみんなは部屋を後にした。そして一人ぼっちでこの部屋にいると、メイドさんが部屋の明かりを消してしまった。
真っ暗な部屋のベットの上、さっき目を覚ましたばかりなので当然眠くない。しかし、動こうにも部屋が暗くてどうしようもない。
「魔法でも使えたらなぁ〜」
人差し指を見つめ、心の中でライトと呟いたが、光はずもない。
そうよね。魔力1だと発動できないかもしれないとさっき聞かされた。そんな簡単に魔法なんて発動できないよね。と思った瞬間、人差し指の先が微かに光った。
次の瞬間、私は気を失っていた。
⚪︎
朝、目を覚まして服を着替えていると、私を起こしに来たメイドさんが大慌てで私のところに来て
「お嬢様!!今、手伝いますのでじっとして下さい」
朝食を済ませた私、今日から習い事が始まる。まずは文字からだ。アルファベットに似た横文字、言語形態は地球で言うヨーロッパ系なのだと思う。少し文字が違うだけで、アルファベットは比較的覚えやすかった。
不思議なことに気づいた。実は私、なぜか魔法が使えたのだ。と言っても、指先から光が少し出ただけなんだけど、しかもすぐに気を失ってしまった。そう言えば、昔読んだラノベに魔力をギリギリまで使うと魔力量が増えると聞いたことがあった。こうして私は寝る前に魔力訓練をすることにした。
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