第56話
「いぇ〜い!お邪魔〜!」
「来ちゃったよ…」
「何よ!別にいいじゃない!杏奈ちゃんと優希くんの安全のためよ。急に住む場所を用意することはできないんだから、私がここに来るしかないのよ!」
「あのね、2人きりの生活を望んでいたのにあなたが来たら意味がないじゃない。少しは…」
「確かにそうね、だから可能な限り干渉しないようにして、早急に住む場所を確保するか問題を解決しないとね…。」
『うーん…』
私と和美は玄関で頭を抱える。
「あの、人の家の玄関で何をやっているんですか?」
優希と杏奈さんが不思議そうな目で2人を見ている。
「あの、溝口さん、優希くんがフレンチトーストを作ってくれたので一緒に食べませんか?コーヒーもありますよ?」
「いただくわ!」
4人でのティータイム後…
「じゃあ和美さんは僕たちと一緒にこの家に住むんですか?」
「そう、いい案が出なかったからとりあえず居候って形かな?まぁ用心棒がわりだと思ってちょうだいよ。」
「用心棒ですか…、そんな危険な目に遭うことはないかと思いますけど、それに和美さんは…」
「あぁ、小さいおばさんじゃ頼りないっての?大丈夫よ、私めっちゃケンカ強いから。」
「なんですか、そのイキリヤンキーみたいな…」
優希は不安そうな顔をしているが、和美がケンカが強いのは事実だ。
詳しい話は省略するが、厳しすぎる父親の影響で格闘技を教え込まれていることから技術も度胸も見た目からは想像できないほど大きなものになっている。
男を何人も倒せると言うような漫画のような話ではもちろんないが、男性相手でも戦えるような実力はあるはずだ。
しかも、前に施設で見た真波の今の夫(浮気者)は、背は高いものの痩せていた印象が強い。
和美であれば造作もなく捻るだろうな…
「まぁ、和美さんの実力はともかく、どうやって2人と接近しないようにするんですか?正直これ以上できることはないと思いますけど…」
「いやいや、あるでしょ。単純に法的制裁よ。」
「法的制裁?もう慰謝料はもらいましたよ?」
「慰謝料以外にもいろいろあるの!それに、あなた話を聞いたらもらった慰謝料を返しちゃったようじゃない?それも取り返してくれるわ!」
「いきなり話が進みましたね…、なんでそこまで話が飛躍したんですか?」
「そうした方が良いって話があったのよ…、ある人からね…」
「ある人?」
「ともかく!少しの間大人しくしていてちょうだい!こんな言い方したくないけど、金ならたくさんある!知り合いの弁護士に頼んで徹底的に追い込んでやるさ。」
不安そうな顔の優希、きょとんとした顔の杏奈さん、自信満々の和美さん。
今後どのような状況になったのか、気になるままその日は解散し、私も仕事に追われる日々に戻った。
正直言って、私は後でことの顛末を聞くことができればと思っていたのだが、私は全く予想していない形で再びこの不倫問題に関わることになった。
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