ヒューマンデビル・エンダーリングワールド~魔王となった俺は新世界、新秩序を創り出す

水無月のん

第1話 魔王と人間との間に生まれた子供

「終末は近い、【永遠】はやってこない」

「だ、だまれ!【永遠】は、ずっとこの手の中に…!」


男は彼の両手を切り落とす。


「駄目だ。貴様には死んでもらう」

「っ…!やめてくれ…」


彼の懇願もむなしく、男は剣を地面に突き刺すと魔法を詠唱する。


エンド・ブラッドスター滅びの血星だ」


そして、男は町ごと消した。

そこにいた関係ない人々を巻き込んで。


ーーーー


男は裏社会では名の知れた子供だった。

父親は魔王で、母親はそれに仕える従者、そんなわけで生まれた時からなんてものはなく、また父親魔王からも良心を無くすよう言われていた。


なぜ裏社会では名の知れた子供だったのかは、彼は人間と魔物のハーフであり、人間のもとに行き、時々遊んでいたから。


まあ、遊びというか、殺しというか。


わずか5歳にして、殺しを覚えた。殺しだけでは飽き足らず、拷問などの卑劣なやり方もした。もちろん裏社会の人間も抵抗しなかった訳ではない。しかし、男は強すぎた。


その強さと残虐性も相まって、裏社会では名の知れた子供だったということだ。

懸賞金や指名手配などもかけられたが、誰一人捕まえることができなかった。


男はやがて十歳になる。

そんな暴力を日常としていたある日、父親である魔王から呼び出された。


「人間をたくさん殺しているらしいな、いいことだ…しかし」


魔王は椅子の横にあるショートナイフを手に取って、男の喉元に構える。


「いつこのようになるかわからない。あまり無益な殺傷は好ましくない」

「…父様、人間は我ら魔族より格下の相手です。恐れるに足りないでしょう」

「それはの話だ。いつかそのような人間が現れるかもしれな…」


その瞬間、広場の扉が大きな音を立てて破られる。


「こんにちはー!【魔族の子供と永遠の瞳】を攫いに来ましたー」


ピンク髪に甲冑、両手剣を持っている女が現れる。

もっとも、女がこの広場にいるということは…


「おい従者、いないのか?やつを殺さんか」

「無駄ですよ。魔物、魔族?なら殺しましたし、人間の従者は開放しました」


つまり、この城に残されたのは俺一人と魔王である父だけということ。

その状況に可笑しさを感じた父は、


「フハハハハハハハ。もしかして、君が…やったのか?」

「ああ」

「そうか、私も随分と舐められたものだ。ならば久しぶりに本気を…」

「苦しまずに殺してあげます、ほんの一瞬です」


すると女は両手剣を構えて魔術を詠唱する。

魔王である父親にはわからない、あれは人間だけに許された術。

しかし、魔族と人間の血を引いている俺ならわかる。


(身体強化魔法に、見えざる刃か。ふつーすぎてつまらんな)


そして父が剣を取った瞬間に地面から棘が生え、見えざる刃で四肢は切断され、瞬きをするまもなく女は父の心臓に風穴を開ける。


「ぐはっ…」

「一瞬…でしたね。さあ君も無駄な抵抗はしないでくださいねー」


父は血を吐き、死んだ。そして、俺もきっと今から殺される。


「ささ、私の手を握って…ってのはちょっと怖いから、一回気絶してくれるかな?」

「いいいいい、いやです!ちち、父は悪い魔王だって、こここことは知ってました。僕は父に人殺しを強要されれれたんです。本当です、しかも子供のころからあんな環境で…」


まるで小鹿のように震え、命乞いをする自分をかわいそうに思ったのだろう。


「そ、そうですか…んー困りましたね…これでも食べて泣き止んでください」


そう言ってポケットからチョコ味のパーフェクトを取り出す。裏社会の人間も持っていたがどうやら人間界には「お菓子」というものがあるらしい。


「ぐすん、ありがとう、ございます」


そしてパーフェクトを食べ、女と一緒に広場を出る。

一応裏切る可能性もあるからと、手はしっかり握られる。


「さー行こうか…って、嘘…でしょ…?」


広場を出てしばらく歩くと庭園に出る。月光があたりを照らす。

庭園をでてすぐに女とつながれていた右手はほどけた。

そして、たくさんの屍が転がっていた、人間の。

目は白目を向いていてどう考えても生きているという感じではなかった。


「おかしい…だって魔人はしっかり殺した…助けられた召使いが自殺するはずもないし…一体誰が?」



「は…え?」


俺は女が油断したその一瞬の隙をついて、隠し持っていたショートナイフを女の首に突き刺す。当然女は油断していたので、首から大量の血を流して倒れる。


「なん…で?あな…たは、あの魔王とは…ちが、ウッ」

「うるさい、とどめを刺すから黙れ」


そして、倒れた女の腹の上に上る。

女も抵抗するも貧弱すぎて、とるに足らない。つまらない。


黙って俺は女の首元にナイフを一突き。鎧を着ているので、おなかに直接…というわけにもいかなかった。どうやら死んだようだ。


「ハハハハハ!ハハハハハ!俺の!俺の時代が来たぞ!見てろよ人間ども!俺が支配してくれる!ハハハハハ!」


俺の笑い声は一晩中魔王上に響き渡った。


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