第71話

男はわたしの前髪を優しくかき上げ、ひんやりとしたタオルでまず丁寧に額を拭いた。


頬、口、首筋───と、滑るようにタオルは降りていく。


恥ずかしさを忘れたわけではないけど、もう何日もお風呂に入っていなかったから、すごく気持ちが良い。





やがて鎖骨まで降りてきたタオルは、ためらうこともなくわたしの胸元を撫で始めた。


円を描くように、優しく、丹念に──。


髭の男に汚されたわたしの体が、綺麗になっていく──。





ふと閉じていた瞳を開くと、真剣にわたしの胸元を見ている彼が目に入った。


タオルは、滑るように何度も何度もわたしの胸の膨らみを刺激する。


下半身が疼くような変な感覚に教われ、わたしはまたぎゅっと目を閉じた。






お腹、脇、内腿、脛、足先──。


彼は、少しずつわたしの体を清らかにしていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る