第25話

薄汚れた壁に頭を預けながら、ふと微かに部屋全体が揺れたことに気付いた。


何だか安定しない、フワフワとした感じ。


さっきまでは動揺していたから気付かなかったけど、この感じは──。


まるで、船の中にいるような感じだ。






この部屋には窓なんてないし、それを確認する術もない。


だけど、多分だけど、ここは船の中。


揺れは微かだし動いている雰囲気ではないから、恐らく停泊しているだけだろう。

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