第21話
男はそう言うと、わたしの目線に合わせるように長い足を折り曲げしゃがみ込んだ。
自然と、男の顔が近くなる。
「わたしはヒヤマといいます。あなたは、東原彩(ひがしはらあや)さんですね。」
男は丁寧に自己紹介をすると、当然のようにわたしの名前を言って来た。
誘拐だとほぼ確信しているわたしは、そのことに対して驚きもせずに黙って男を見つめた。
ヒヤマは何が可笑しいのか口角を上げてフッと笑うと、「さすがは大財閥のお嬢さん。さっきのことが嘘みたいに落ち着いてるな。」と急にタメ口で呟いた。
それでもわたしは無言だったけど、ヒヤマは全く構いもせずに話を続けた。
「もうお分かりかもしれませんが──我々は今日、あなたを誘拐しました。あなたの御両親には今、あなたの身柄と引き換えに身代金を要求しています。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます