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第26話
───……
無意識の内に、身支度を済ませて外に飛び出していた。
ライブ会場に行ったって、リキに会えるわけでは無いんだけど。
どうしても、居ても立ってもいられなくなったんだ。
マンションのエントランスを抜け外に出た途端に、凍てつくような冷気を肌に感じた。
マンション前の大通りに面した歩道には、夜空からはらはらと粉雪が降っていた。
歩道の脇に植えられた、街路樹。
ガードレール、電信柱、車道を挟んだ向かい側のイタリアンレストラン。
見慣れた景色も、冷たい空気と雪のせいかいつもとは違って見えた。
真っ黒な夜空から真っ白な雪の粒達が緩やかに地上に落ちてくる様を見ていると、張り裂けそうだった気持ちが洗われたかのようにスッと和んで行く。
わたしは歩いて数分のところにある最寄りの地下鉄駅まで、雪の中を真っ直ぐに歩んだ。
早く、会いたい……。
そのことばかり、考えていた。
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