第64話
「明日のライブ、がんばってくださーい!」
そう投げ掛けられた黄色い声援に、ヒロ先輩が笑顔で答えていた。
「コウ先輩!明日行きますっ、がんばって!」
ちょうどわたしの横にいた女の子達の集団がそう叫ぶと、コウ先輩はこちらを見ていつものように柔らかく微笑んだ。
キャーッと、途端に隣が騒がしくなる。
すると、ふいにコウ先輩の目線が移動し、ばっちりわたしと目が合った。
目が合っても、知り合いというわけでもないし、全く知らないわけでもないし、対応に困る。
目線を反らそうかな、と考えていると「あ」というように先輩は口を開け、こちらに向かって歩いて来た。
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