第54話
───そんなことばかりをぐるぐると頭の中で考えていて、コウ先輩に呼び出された昼休憩以降は授業の内容が殆ど頭に入らなかった。
やがてホームルームが終わると、我に返ったわたしはいつものように素早く荷物をまとめて立ち上がった。
ユイとユリナに声を掛けようと思ったけど、2人は話し込んでいた。
「そうそうユイ、MCのライブ、あさってでしょ?」
「それね、即完売でチケット買えなかったの。MCの熱狂的なファンが、殺到して買い占めたみたいで。」
2人の話の内容がコウ先輩のことで、思わずドキリとしてしまう。
「 わたし、コウ先輩は好きじゃないけど、ライブは行きたかったな。歌は好きだし、ギターのリョウさんタイプだし。」
「ユリナ、リョウさんタイプなの?でも分かるかも!あのメガネがエロいよね!」
盛り上がる、2人の会話。
「バイバイ」って言うタイミングが掴めなくて、思わずオロオロしながら2人を見ていた。
すると、ユリナがそんなわたしに気付いて「あ、アゲハ。お疲れ。」と、声を掛けてくれた。
「アゲハ、今日も頑張ってね!」と、ユイもにっこり笑ってくれた。
昼休みのあの一件以来気まずかったから、うれしくてわたしも笑顔になる。
「うん、ありがと。ばいばい、ユリナ、ユイ。」
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