第6話

───

──



再び目を開けたわたしの瞳には、知らず知らずのうちに涙が滲んでいた。


すぐにまた、レコードから流れる音楽が耳に戻って来る。


針が飛び、少しだけ音が途切れた。







その時ふと、壁に掛けられた青いギターに気付いた。


以前彼が、ここで弾いてくれたギター。


立ち上がらなくても手の届く距離だったので、わたしは座ったまま手を伸ばしそのギターを手に取った。






ギターを取った途端、バサバサと何かの崩れる音がした。


どうやらギターにもたれるように、何かが積み重なっていたらしい。


何だろうと視線をそこに移せば──。







それは何冊もの、B5サイズのノートだった。

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