第2話

預かった鍵を玄関の鍵穴に差し込めば、カチリと小気味の良い音がして、戸が簡単に開いた。


ゆっくりと足を踏み入れたそこは、以前来た時とあまり変化が無かった。


北欧調のソファも、ログハウス独特の自然味溢れる壁も、ロフトへと続く長い梯子も。


窓から入り込んだ光の中を、細かな埃の粒達が静かに舞っている。






薄暗くて湿気臭くはあるけど、想像していたよりは埃っぽく無くて、家具や物もわりと綺麗に整頓されていた。


もしかして彼は、最近まで頻繁にここに来ていたのかも知れない。


この部屋の小綺麗さは、何年も放ったらかしにされていた雰囲気じゃない。


あれだけ忙しい毎日を送りながら、一体いつこんな辺鄙な場所に来る時間があったのかと驚いた。

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