第3話
中学最後の学力テストの結果が発表された日、3人は昼休みに校庭のベンチに集まっていた。花華が静かにテスト結果の紙を握りしめ、結雨と月沙を見つめる。
「私…今回のテスト、結構いい感じだったかも。」結雨が少し照れくさそうに笑いながら言う。
「私も。これで本当に3人で同じ高校、目指せるかもしれないね。」月沙は結果を確認しながら、ほっとした様子を見せた。
花華は特に何も言わなかったが、その表情からも安堵が伺えた。彼女は成績に関して常に冷静だったが、心の中では2人と一緒に高校へ行けるという希望が、日に日に大きくなっていた。
「これからが本番だね。高校入試まで、あと数ヶ月しかないし。」月沙が改めて気を引き締めるように言った。
結雨がベンチから立ち上がり、意気揚々と宣言した。「じゃあさ、休日も一緒に勉強しようよ!私たち、これからどんどん力をつけて、同じ高校に絶対に行こう!」
その提案に花華も小さく頷き、3人の決意は固まった。
次の休日、3人は月沙の家に集まることになった。彼女の部屋は静かで落ち着いた雰囲気があり、勉強するには最適だった。窓際の机には教科書や参考書が積み上げられ、床には薄いラグが敷かれ、座り心地の良いクッションがいくつか置かれていた。
「じゃあ、今日はまず数学からやろうか?」月沙がノートを広げながら言う。
「その前に、ちょっとリラックスしない?せっかくみんな集まったんだし、少しお菓子でも食べてさ。」結雨がにっこりと笑いながら、持ってきたクッキーの袋を取り出した。
花華は静かに微笑みながら、テーブルの上に缶コーヒーを並べる。「集中力を保つためには、適度な休憩も必要だしね。」
3人は勉強の前に、軽くお菓子をつまみながらおしゃべりを始めた。お菓子を食べながら、入試の話や高校生活のこと、そして少し将来の夢についても話す。いつもの自習室では見せない、少しリラックスした3人の時間だった。
「高校に入ったら、どんな部活に入りたい?」結雨がクッキーを口にしながら聞いた。
「私はまだ迷ってるけど…多分、文芸部かな。書くことは好きだし。」月沙がそう答えると、花華も自分の考えをぽつりと話し始めた。
「私は、数学研究会とかかな…。もっと数学を深めていきたいと思ってる。」
結雨は笑いながら「私はどうしようかな。部活もいいけど、まずは勉強に集中しないと!」と言い、すぐに話題を元に戻した。
おしゃべりの時間が終わり、再び勉強モードに切り替わった。今日は難しい数学の問題集に挑戦する日だ。3人とも、これまでに比べると驚くほど学力が近づいてきており、少し難しい問題も一緒に考えれば解けるようになっていた。
「この問題、どう解けばいいんだろう?」結雨が悩みながら問題集を覗き込む。
「見せて。」花華が淡々とした口調で言い、数式を確認する。しばらく考え込んだ後、彼女は冷静に一つ一つの手順を説明し始めた。「この部分をこうして…次に、ここで式を変形するんだよ。」
結雨は目を輝かせながら「なるほど!」と声を上げ、すぐにノートにその解き方を書き写した。月沙もそれを横から見守りながら、「ありがとう、花華。おかげでわかったよ。」と感謝の言葉を口にした。
勉強が進むにつれて、3人はさらに協力し合い、難しい問題に挑戦し続けた。彼女たちは、これまでと違って明確な目標を共有していた。それは、同じ高校に行き、また一緒に勉強し続けること。
休憩を挟みながらも、彼女たちは長い時間を集中して過ごした。部屋の窓から外を見ると、すっかり日が沈み、夜の気配が漂い始めていた。
「今日はここまでにしようか。」月沙が時計を見ながら言った。
「そうだね。今日はたくさん進んだから、いい感じ。」結雨は少し疲れた表情を浮かべながらも、満足そうに頷いた。
「これからも、この調子で頑張ろう。」花華が静かにそう言うと、3人は明日へ向けての新たな決意を胸に、勉強道具を片付け始めた。
その夜、3人はそれぞれの家に帰りながら、これからの未来に思いを馳せた。彼女たちが目指す道はまだ遠いが、互いを支え合い、励まし合いながら進んでいける。希望に満ちた日々が続く中、彼女たちは夢見た未来に向かって、一歩一歩前進していくのだった。
3人 紙の妖精さん @paperfairy
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