第14話 第4試合幕間
どうにか体力が戻ってきたから体力回復魔法をかけられた。
おじいちゃんが控室にきて魔法をかけてくれるかもってちょっぴり期待したけど。
期待って高ければ高いほど、あとで失望だったりがっかり感のお釣りがくるのよね。
身内とはいえども、これからはあまり期待しない方がいいかもしれない。
なんてことを思いながら、私は寝転がった体勢からお座りモードにチェンジした。
腰を深く沈め、なるべくふわふわなソファの心地よさを味わう。
好物のキャラメルをテーブルの上に並べていつでも食べられるようにする。
飲み物はオレンジジュースを用意。
ってこれじゃあ完全にリラックスして休日の一日みたいな雰囲気になっているけど、一応、まだ試合は続いている。
これは休息も兼ねた試合観戦なんだから。
自分を正当化する言い訳を心の中で呟いて、第3試合を拝見。
対戦カードはミルク・マラカスVSパティ・ロジャー。
ミルクさんは白い鷲って感じで典型的な鳥人族って感じ。
パティさんは……じっと画面を凝視した私は、こんなことを口に出していた。
「美形!」
プラチナがかった金髪のオールバックに青く輝く瞳、黒のタキシードがよく似合っている。普段美形とか大して興味のない私でも思わず声が出るほど、彼は整った容姿をしている。
まるでテレビ画面が輝いて見えるほどに彼の容姿は人を惹きつけている気がする。
オーラっていうのが全身から放たれている気がするんだよね。
吸血鬼は美形が多いと聞いていたけど、これほど綺麗だとは思わなかった。
腰にチャンピオンベルトが巻かれているってことは、この人が今の王者なのね。
見た目の印象ではどちらかというとミルクさんの方が強そうだけど、どんな試合になるのかしら。
対戦相手の研究も目的としていることを思い出し、固唾を飲んで試合開始を待つ。
当初はミルクさんに圧倒されていたパティさんだったけど。
徐々に形勢が変わってきた。
圧倒的に優勢なのはミルクさんなのにパティさんの声援が増えてきている。
いわゆる負けそうなやつを応援したくなるって奴だ。
パティさんは美形だし、汗もダラダラだし、何より全く反撃できていない。
なのに攻撃をすべて受け続けても立ち上がる。
まるで、どっちが悪役なのかわからなくなるくらいに。
「パティさん、頑張れー!!」
気づいたら私も声を張り上げていた。
やがて、彼がミルクさんの全身の血を吸いつくして干物にしたとき、私はあっと声を上げた。
美貌で残忍なことを平然とやってのけ、会場全体を酔わせることができる魔力的な魅力を持った人、それがきっとパティ・ロジャーの本質。
美しいけど、怖い。でも画面から目を離すことができない。
このパティは要注意人物ね。
私は頭の中で警戒心を高めてから、ソファを立った。
第4試合はアンさんの試合だから試合前に励ましたくなってきた。
ひとりじゃ心細いだろうし、会いに行こうかな。
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