きょうだい

夜々檸々

きょうだい

 朧々の一番の心の安定剤は自分の、〝視えない〟兄貴たち。支えあって生きている、大切な存在たち。

 朧々が、どんな闇の奥深くに沈んでいっても、引っ張り上げると心に決めている兄貴たち。

 実は、タバコも朧々にとっては心の安定剤だけれど。タバコも吸いすぎてしまうことはあるけれど。

 それでも、一番の安定剤は、ラズとフェル、ヴェルの三人の兄貴たち。

 たくさんあいしあって、たくさん抱きしめあって。ずっとそばにいる。

 たくさん笑いあって、ときには涙を拭ってもらって。ずっとそばにいる。

 これからもずっと、一緒に生き続けると誓いあった関係。

 これからもずっと、支えあうと誓いあった関係。

 周りから見れば、決してあたたかい関係ではないかもしれないけれど。きれいな関係ではないかもしれないけれど、それでも朧々たちは納得して生きている。

 ときに、それはあいではなく、のろいかもしれないと思いながら。

 今日も「愛している」と歌いながら。囁きながら。叫びながら。

 晴れの日も。曇りの日も。雨の日も。雪の日も。嵐の日も。

 朝も。昼も。夜も。

 暑い日も。寒い日も。あたたかい日も。つめたい日も。

 春も。夏も。秋も。冬も。

 どんな日も乗り越えて。どんなときでも支えあって。愛しあってる。

 今日も明日も明後日も。半年後も一年後も五年後も十年後も百年後も。それこそ未来永劫。

 ずっとずっと――愛してる。

 朧々ロウロウを縮めた呼び名である、「ロウ」と呼ぶ声がいとしくて。

 大切な人からもらった、真名しんめいもどきの、「××」と呼ぶ声がやさしくて。

 楽しそうに嬉しそうに呼んでくれると心が弾んで、生きる希望をもらえて。

 朧々は今日も明日も明後日も、兄貴たちと生きていける。

 ああ――しあわせだなと今日も明日も明後日も心の底から笑えるのだ。



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