第26話 ベアーという男

ベアーという男。


68歳、大統領。


彼は超裕福な家庭に生まれた。


父は元財務大臣。祖父は元大統領。


いわゆる、政治家三世である。


子ども時代から、遊び相手は超有名政治家だの超有名芸能人。


お年玉なんか100万単位。


子どもの時からすべてを手に入れていた。


そんな彼が政治家になった理由は、ただ親がやっていた仕事だから。


ただの暇つぶし、そんなところだ。


選挙の時は世のため人のためなどと演説しているが、そんなこと、微塵も思っていない。


政治など、金集めと暇つぶしのゲームというくらいにしか考えていないのだ。


当然、幼い頃から裕福だった彼にとって、庶民の気持ちなど分かるはずもなく、庶民のための政治など行っていない。


同じ金持ち仲間と、金集めのゲームの一環として政治を行っているだけなのだ。


だからと言って、貧困に苦しむ庶民を見て、彼にそれを憐れむ気持ちがないワケでもない。


しかし、それは、ちょうど一般人の我々が、遠い地の貧困にあえぐ子供を見るような感覚に近い。


かわいそうだとは思うが、別に彼らのために行動はしないだろう?


それと同じだ。


ベアーも、庶民をかわいそうに思ってはいるが、所詮は他人事なのだ。


さて、彼の最大のマネーゲーム『戦争』についてみてみよう。


「ベアー大統領!

 レオニス国とエルドレン国の国境付近で紛争が起きる予兆です。」


「ほうほう。それはおいしそうな話じゃないか?

 我々はどちらに加担しようかのう。」


「そうですね・・・。

 レオニス国は資源が豊富な国。

 彼らに加担したほうが、後々メリットが大きいでしょうな。」


「ふむ・・・。

 では、レオニス国に武器を輸出せよ。

 さすれば、レオニス国は我が国に恩義を感じ、通性を誓うだろう?」


「しかしそれでは、レオニス国の圧勝。

 せっかくの戦争が長引かず、一瞬で片が付いてしまいます。

 戦争を長引かせ、武器を大量に売りましょうぞ。」


「そりゃ名案!

 しかし、どうやって戦争を長引かせような・・・。」


「エルドレン国にも武器を流すんです。

 でも、両方に武器を流しては我が国の悪行がバレます。

 エルドレン国と友好関係にある国にひとまず武器を流しましょう。

 そうしたら、その国がエルドレンにその武器を提供するでしょう。

 そうすれば、我が国の悪行はカモフラージュされますな。

 くっくっく・・・。」


「ほほう、おぬしも悪よのう。

 はっはっはっは。」


こうして、ベアーは2国間の戦争の糸を引き、武器を大量に輸出することでぼろ儲けしていた。


戦争をマネーゲームの道具としか考えていない。


庶民の命など、盤上のコマに過ぎないのだ。


「さて、レオニスからは見返りに何をもらおうかの。」


「まあ、資源は当然でしょうな。

 レオニスは資源大国。

 われわれにとって必要な資源が豊富にありますからな。」


「そうじゃ、レオニスは美人が多い。

 見返りに美女を数名送ってもらおうかの。」


「それはいい!

 レオニス産の女は極上ですからな。

 ひっひっひっひ。」


こいつらは金と女にまみれたド畜生である。


何としても、世界のためにこいつらは殺さねばならないのだ。


しかし、なぜこんなクズが選挙に受かってしまうのだろうか。


それは、メディアをうまく活用しているからだ。


ベアーらはメディアに対し、彼らの悪行を表に出さぬよう、口止め料を支払っている。


ベアーらの良い面のみをメディアで放送することで、情報操作をし、国民を欺いているのだ。


「もうじき選挙が始まる。テレビでは、国民の生活が第一といった感じで俺が演説している様子を流せ。

 俺がレオニス国に武器を売っているという情報はなんとしてもテレビで流す出ないぞ。」


ベアーがそう言うと、テレビ局の社長は札束を受け取った。


「はい、承知しました。

 必ずや、ベアー殿が当選するよう、情報操作します。

 国民は馬鹿ですからな、テレビの情報が正しいとばかり思いこんでいる。

 くっくっくっく・・・。」


しかし、ベアーは一度だけ選挙に落選したことがある。


それは、彼の人生最初の選挙だ。


「なぜだ!なぜ俺が落選せねばならん!」


「落ち着いてください、ベアーお坊ちゃん。

 あなたは必ず当選させます。

 落選の情報を隠ぺいし、選挙の得票率を操作すれば簡単なこと。

 ご安心ください。」


「そうか、ならば良い。」


「お坊ちゃんにはまだ知名度が足りなかった。

 だから落ちただけなんですよ。

 今後はメディアでしっかり情報操作すれば、落ちることはないでしょう。

 メディアにはしっかりわいろを渡さないといけませんぞ、お坊ちゃん。」


このように、万が一選挙に落ちても、彼は不正選挙を働き、必ず当選するように仕組まれている。


つまり、国民がいかにベアーを落選させようとしても、無理な話なのだ。


民主政治など、あってないようなものなのだ。


民主主義を愚弄するこの卑劣漢には死という名の正義の鉄槌を与えなければならないのだ!



=== 作者あとがき ===


次回、ベアー大統領を拷問! & リラと結ばれる!?


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