第19話 最終試験
俺たちは最終試験に向かった。
応募者3万人のうち、最終試験に残るのは30人。
その30人から、最終的にアイドルに選ばれるのはたった3人だ。
今回結成されるアイドルグループの名前は『三つ葉パステル』らしい。
『四つ葉パレット』の姉妹グループだそうだ。
『三つ葉』というだけあって、3人グループなのだ。
さて、試験会場に30人が集められた。
さすがは3万人から選ばれた精鋭。
みな間違いなく美少女だ。
まだ少し芋臭さが抜けていないというか、いい言い方をすればダイヤの原石といった感じだ。
なお、俺はマネージャーとしてリラとともに潜入している。
極力顔バレは避けたい。
俺は光過敏、喘息持ちということにして、サングラスとマスクを常に着用することにした。
これで、俺は完全に外部に顔をさらさないで済む。
リラは思いっきり顔をさらしてしまうが、まあ殺しを実際に行うのは俺だ。
リラは顔が割れても問題あるまい。
司会が口火を切る。
「さて、みなさん。
お集まりいただきありがとうございます。
みなさんは30000人に30人、つまり、1000人に1人に選ばれたのです。
自信を持ってください。
さて、ここからさらにたった3人までに絞ります。
心して、試験に取り組んでくださいね。」
おそらくトモキアの部下だろう。
試験前の挨拶がされた。
「試験は合わせて3つ。
面接試験、歌唱試験、ダンス試験です。
なにも、完璧でなくてかまいません。
未完成だからこそ、応援したくなるというファンもいますからね。
ぜひ、恥ずかしがらずに全力で試験に臨んでください。」
そうして、試験の順番待ちになった・・・。
---
しばらくすると、声がかかった。
「試験番号18番、リラさん!」
呼ばれたので、俺もマネージャーとしてリラについていく。
さて、リラの面接試験開始だ。
「リラさん、こんにちは。」
「ええ、こんにちは。」
「では、簡単に自己紹介をお願いします。」
「はい!私はリラと言います。
特技は人の心を読むこと。
趣味は美容に気を遣い、お肌のケアやお化粧の研究をしています!」
よくもまあかわいい子ぶりっ子な口調で猫かぶってペラペラしゃべるなあ。
女ってこわい・・・。
「では、アイドルになりたい理由は?」
「アイドルのクロエちゃんに憧れたからです!
小さいころから母と見ていて、絶対にクロエちゃんになる!と幼いながらに覚悟を決めていました!」
「今まで頑張ってきたことは?」
「尊敬する女性芸能人のお化粧や美容を独自に研究をして、自分に合った美容を日々研究してきました!」
「では、特技と言っていた人の心を読むってのは本当かい?」
「はい、例えば、あなたは・・・。
今日の夕飯、何にしようかなって考えてましたね!」
「え!ほ、本当だ、こりゃたまげた。
では、・・・。
私はいまなんと考えたでしょう?」
「今日の夕飯はトンカツ、いや、カツカレーにしよう!
って考えましたね!」
「こ、こりゃあすごい。
きみ、超能力者か!?
これはテレビ番組にも引っ張りだこだろうねえ。
うんうん。」
面接官は続ける。
「さて、面接は終わりだ。
次は歌唱評価に移るよ。
では、クロエの桃色夏模様を歌ってもらえるかね。」
すると、CDから音源が流れ出した。
それに合わせ、リラは歌いだす。
なんてきれいな歌声なんだ。
こいつ、こんなに歌上手かったのか。
下手したら本人よりも上手いんじゃねえか?
歌唱が終わると、面接官は拍手していた。
「すごいじゃないか、きみ。
なにかプロとして活動していたりするのかね?」
「いいえ、カラオケでちょっと練習しただけです!
私の歌声は天性のものなんです!」
「そうかいそうかい、こりゃあすごい逸材だね。
次はダンスだ。
では、クロエの夏色秋模様で踊ってみてもらえるかね。」
さっきからクロエの曲名はなんなんだ?
春なのか夏なのか秋なのか、さっぱりわからん・・・。
すると、音楽が流れ出した。
音楽に合わせ、リラがダンスをし始める。
なんだこのぶりぶりなダンス。
めちゃめちゃかわいい。
見ているこっちまで楽しい気分にさせられる。
ダンスが終わると、またも面接官は拍手。
「ブラボー!
合格発表はまだなんだけどね、きみ、100パーセント受かるよ。
私が保証しよう。」
なんと、面接官からお墨付きをもらった。
こうしてリラは試験を終え、帰宅の途についた。
「しかし、リラ。
なぜあんなに歌とダンスがうまいんだ?」
「あのなあ、私は神だぞ。
何年生きていると思っている。
神は不老だ。
だから暇なのだよ。
ゆえにわたしはな、あらゆる競技、趣味、知識を網羅しつくしているのだ。
つまり、わたしにできないことなどほとんどないのだ。」
そりゃあ初耳だ。
「てか、リラって何歳なんだ?」
コツンっ
俺はリラに頭を小突かれた。
「女の子に歳を聞くでない。
わたしはアイドルだ。
年齢不詳さ。」
うまくごまかされてしまった。
まあ、何歳でもいいか。
リラはリラだ。
---
2週間後。
俺たちのもとに合格通知書が届いた。
こうしてリラは晴れてアイドルとなったのだった。
=== 作者あとがき ===
次回、リラのアイドル初日!
評価、ブクマをポチっとしていただけると大変ありがたいです m( _ _ )m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます