第17話 トモキアという男
トモキアという男。
アイドルプロデューサー、53歳。
彼は一見、別に傲慢でも高慢でもなく、普通のおじさんだ。
しかし、彼は異常なほどに女性に対するコンプレックスがあった。
というのも、彼は学生時代、男子校に通い、女性との交流は皆無だった。
大学に進学してからは放送局に出入りし仕事に打ち込んでいたため、彼女の一人もいなかった。
そうして、仕事面では大成したものの、女性関係はてんでダメだったのだ。
そんなある日、彼のもとに女性アイドルグループのプロデュースをする仕事が舞い込んだ。
女性コンプレックスの塊である男がアイドルプロデュースをするとどうなるか。
彼の持つ女性への敵対心は尋常ではない。
彼は女性アイドルに対し、過剰な管理とコントロールを強いた。
体重管理、生活習慣の見直しなど、プライベートに至るまでのすべてをコントロールした。
トモキアの思い通りの行動をしなければ、重い罰、叱責の嵐が飛んでくる。
それにより、女性アイドルは疲弊し、軽い洗脳状態にあった。
そして、トモキアはこう考えるようになった。
女性アイドルはファンたちがあがめる象徴であるとともに、ファンの奴隷であると。
ファンが願うこと、要求することを叶える道具なのだと。
トモキアにとって、アイドルは性の道具なのだ。
それからというもの、彼の彼女らに対する行動はエスカレートし、ついには枕営業をさせるようになる。
彼女らは既に洗脳状態。
当然、枕営業の打診を断るはずもなく、これは私たちが売れるために必要な行為なのだと、嫌々ながら受け入れるのだ。
そして何よりトモキアは、枕営業により出演権や大型の契約を勝ち取ることで、それが大金になることを理解した。
その大金はキャバクラだの風俗に消えていった。
女は道具なのだ、というトモキアの考えはますます揺るがぬものとなり、留まることを知らない。
アイドルグループ『四つ葉パレット』のエースであるミアもその餌食の一人であった。
「おいミア。
最近また太ったのではないか?」
「食生活はきちんとしているんですが・・・。」
「はあ!?
どうせ間食してるんだろ!
正直に言え!」
「は、はい。
休日に友人とパンケーキを食べに行きました・・・。」
「きさまーーーー!!!
お前は商品なんだ、道具だ!
道具は常に使い物になって当然。
お前は道具以下、クズだ!」
トモキアの過剰な叱責にミアは泣き出してしまう。
「これだから女は・・・。
泣きゃあいいと思っていやがる。」
「ぐすん・・・。」
「デブではファンもつかんし、枕営業も減るではないか。
ほら、腹を見せろ!」
すると、ミアの服をたくし上げ、腹をいやらしく触る。
「ほらほら、肉がついとるではないか!
もっと痩せんか!」
そして、そのまま胸を揉みしだいた。
「ふん、デブだから胸は大きくなったようだな。
胸はそのままに、腹の肉を落とせ、このメス豚!」
「は、はい・・・。」
ミアは嗚咽が出るほどに泣いている。
「そうだ、お前は胸はデカい。
中央テレビ局に巨乳好きのお偉いさんがいてな。
そいつのもとに営業に行ってこい。」
「は、はい・・・。」
ミアには肯定しか許されない。
そうしなければ、彼女のアイドル生命は終わるのだ。
そうしてミアは中央テレビ局に向かった。
「やあ、君がミアだね。
うんうん、可愛いねえ。」
歳は40後半ほどの男だ。
ミアはこの男と軽く雑談をすると、男が声色を変えて言う。
「さて、そろそろ始めようか。」
男はおもむろにパンツを脱ぎ、ミアに愛撫するように仕向ける。
「ほら、これをどうしたいんだい、言ってごらん?」
「な、舐めてみたいです・・・。」
もちろん、こんな汚いおっさんの陰部など舐めたいはずがない。
しかし、これは枕営業。あくまで営業だ。
相手の喜ぶ言葉を選び、発しなければならないのだ。
ミアはおっさんの陰部を愛撫する。
ひとしきり愛撫すると、おっさんが口を開く。
「ミアちゃん、上手だねえ。
じゃあ、今度はおじさんが気持ちよくしてあげるよ。」
おっさんは陰部をミアの陰部にあてがう。
「気持ちよくしてあげる」と言われても、こんなおっさんとヤったところで気持ちよくなるはずなどない。
ミアはもう何も考えず、喘ぎ声の演技だけして、涙を必死にこらえ、ただ時が過ぎるのを待った。
そうして、ことが終わるとおっさんが言う。
「いやあ、美人とのエッチはいいねえ。
若返った気分だよ。
じゃあ、トモキアさんによろしく伝えといて。」
ミアは死んだ顔でトモキアのもとへ戻るのであった。
そうして、このおっさんとトモキアは契約を成立し、トモキアの手元に大金が入るのだ。
この卑劣漢には、死という名の正義の鉄槌を下さねばならない。
=== 作者あとがき ===
次回、リラの大胆な姿が!
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