第16話 ヴェスパーからの任務
俺とリラは、次なる任務を受けにヴェスパー事務所にいた。
「よお、ジェイク。
メスとのデートはどうだった?
交尾できたか?」
ヴェスパーだ。
「いえ、リラに邪魔され、あと一歩のところ及ばずでした・・・。」
「あはははは!
いまだ童貞か!
リラもあまり意地悪してやるなよ。
責任もってお前が童貞をもらってやるなら話は別だが。」
「ああ、そのつもりだ。」
リラの正直な回答にヴェスパーは少し驚く。
「ヒューヒュー、お熱いね、お二人さん。
さすがは愛人だ。
いいねえ、青春してて。
あたしも混ぜてほしいよ。」
3P!?それは3Pということですかい、ヴェスパーさん!?
ヴェスパーが続ける。
「まあ、そんな話はおいといて、次の案件、だろ?」
そうだった、案件を聞きに来たんだ。
「ええ、次の殺し、教えてください。」
「次の案件はこれだ。」
すると、ヴェスパーは俺たちに資料を手渡した。
「こいつはな、トモキア。
世界的なアイドルプロデューサーだ。
お前たちも聞いたことはあるだろう?」
知っている。
メガネをかけた、太った男だ。
よほどプロデューサーとして腕がいいらしい、いくつものアイドルグループを手掛けている。
最近は『四つ葉パレット』というアイドルグループに注力しているらしい。
彼女たちのテレビ出演がすごく多い。
「ええ、たまにテレビ番組にも出ていますからね。」
「こいつは確かに敏腕だ。
だが、アイドルを世に送り出すのに手段を選ばん。
テレビ局の重鎮に対してアイドルを枕営業をさせ、アイドルの出演権を勝ち取っているそうだ。
それで、出演権争いに負けた他社のアイドルプロデューサーが恨みでも持って、殺しの依頼をしているのだろうな。」
「しかし、殺しをするにあたって、トモキアに接触するにはどうすればよいでしょうか?」
「うむ、何択かある。
お前の殺しのスタイルに合うものを選べ。
1.投資会社と偽装し、投資話の商談を持ち込みトモキアに近付く。
2.やつの所属する芸能プロダクションのスタッフとして潜入する。
3.やつの登壇する講演やイベントに観客として参加する。
4.脅迫メールなどでおびき出す。
とまあ、こんなところかな。
どれがいい?」
うーむ・・・。
1.は悪くない。
だが、トモキア処刑後、必ず事情聴取をされる羽目になるだろう。
そこで殺し屋の足がついたら厄介、ヴェスパーにも迷惑をかけてしまう。
2.も悪くないが、これも1.同様、最近加入したスタッフの個人情報を警察は洗い出すだろう。
そこで殺し屋の足を掴まれたら厄介だ。
3.は良いだろう。
観客の人混みに紛れて拷問部屋を発動すれば、まず特定されることはない。
ただし、個人情報をやつの芸能プロダクションに渡して参加するタイプのイベントはダメだ。
警察に観客の個人情報を洗われたら、そこからバレてしまいかねない。
4.は難しいな。
メールを逆探知されたら、メールを送ったパソコンのIPアドレスから、住所がバレてしまう。
結論、やつが出席する、個人情報を渡さないイベントに観客として潜入することとした。
「3にします。
ただし、イベント参加に伴う個人情報の流出は回避します。」
「ほう、そうか。
お前がそう言うならそれでいい。
正解はないからな。
まあ、あたしはジェイクたちを信じているぞ。
もうすでに3つの殺しの依頼を達成していることだしな、信頼度は高い。」
「そう言ってもらえるとありがたいです。
頑張ってきた甲斐があります。」
「ああ、これからもよろしくな、ジェイク。」
よし、信頼は勝ち取れている。
こうして信頼を積み重ね、もっと大物を狙うんだ。
そうすれば、リラの言う通りに人類に正義の鉄槌を下せる。
俺としても、卑劣漢を処刑するのはスカッとして気持ちがいい。
そうして、俺たちはヴェスパー事務所を後にした。
「なあジェイク、わたしの言う通りにしてこの能力を使いこなしてくれてありがとう。
親愛なる我がしもべよ。愛しているぞ。
ちゅっ。」
突然リラが俺の唇にお礼のキスをした。
「どうしたんだ、急に。」
「ああ、まあな。
別にいいだろう。」
もしかして、俺がヴェスパーに取られないか心配なのか?
「なあ、リラ。
俺はな、童貞はリラで卒業しようと思っているぞ。
だから、安心してくれ。
まあ、やきもちを焼いてくれるのは嬉しいがな。」
「ふん、この破廉恥男め。
相手が女とあらば鼻の下を伸ばしおって!」
リラはつんけんしているが、恥ずかしさを隠しているのだろう。
本当に神なのか? かわいいやつだな。
さて、次はトモキアの殺しだ・・・。
=== 作者あとがき ===
次回、トモキアの悪行!
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