日没のリインバース

八夢詩斗

第1話 プロローグ

 これは俺が『転生』するまでの物語だ。


 このストーリーを見ているお前は、きっと上位の世界にいるんだろう。俺たちの干渉できない次元にいるはずだ。なんのためにこの話を読む?聞いている?もしくは映像として体験している?それともゲームとしてプレイしている?


 わからない。なんのために俺が存在しているのか。上位概念であるお前たちの慰み者でしかないのか。劇場の道化でしかないのか。このストーリーは俺の意思なのか、それとも定められた運命だとでも言うのか。


 だけど、逆に突きつけてやろう。安心し切って生きているお前たちの、その『現実』というのは、俺たちとは違うのか?お前は全て自分の意思で決めていると思っている。そうだろう?俺だってそうだった。だけど本当にそうなのか、立ち止まって考えてみてほしい。


 実際のところ、こんなことはどうだっていいんだ。俺の運命が定まっていようが、捻じ曲げられようが知ったことじゃない。改変されようが知るための手段もない。世界が5分前につくられたものだとしても、記憶が植え付けられたものであったとしても、生きるしかない。逆説的だが、俺はお前たちよりも自由だ。どんな世界にだっていける。だから怖くはない。いくらでも輪廻を生きてやる。生き抜いてやる。俺の意思で生きる。


 これは俺が『転生』するまでの物語。


 彼女が死んで、俺が死ぬまでの物語だ。

 

 

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