デバッファーは最高峰の不遇職って本当ですか?~クラス転移に巻き込まれ国外追放された俺はデバフで最強に至る〜

望米

第0話.最高峰の不遇職


「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」


 ヴァーグロンド王国へとクラスごと転移してしまった一ノ瀬かふか。


『君の能力は……ふむ………………?』


 俺のステータスを見た途端黙り込んだと思いきや声を荒らげ高らかに笑った。


『この世界で君以上にレアなスキルを持っている人間はいないよ!!』


 安堵した。

 良かった。僕は俗に言う無能認定されずに、生きていけるのだと。


『ロストスキルと言ってもいい現代でこんな能力を持っている人間は誰一人としていないよ。

『……は……、い……?』


 そこからの流れは美しいほどに淡々と行われた。

 一ヶ月生きていけるほどの金額の入った布袋のみを持たされ僕は、同級生たちに見下されながら全く見覚えのない森にいた。


「はぁ……はぁ……くそ!!スキルなんて……、どうやって使うんだ!!」


 全力で逃げるカフカ。

 ライトノベルを見ていれば、ゴブリンなどゴミのように思えるモンスター。

 だがしかし、現実は甘くなかった。

 人間には遥かに劣るものの五歳児ほどの知能を持ちながらも、常人では間違いなく瞬殺であろう脚力と腕力。


「なんなんだよ……!!あのクソ野郎も……!クラスの野郎も……!!」


 ステータスウィンドウに表示されているのは、スロウというスキルのみ。


「スロウ……敵と見なした相手の速度を落とす……って……攻撃力がないんだから……」

職業クラスデバッファー……?ふざけるでない。このような小細工しか出来ぬ職業なぞ生きてる価値もない』

「くそ……くそ……!!」


 生きるか死ぬかの土壇場。

 カフカは、開き直ってゴブリンたちに手をかざす。


「スロウッ!!!!!」

『グギャ……??』


 今まで100%の動きで餌を追いかけていたゴブリンは、違和感に気づく。


「くそ……くそくそくそくそ……動きが遅くなったからって……!!」

『グ、グ、グ、グギャァァァア!!!!』


 背後に迫った一匹のゴブリンは石で作った短刀をカフカの後頭部へと振り下ろす。



 デバッファー。

 この世界ではバッファーと相対し、唯一使い道のない最高峰の不遇職と言われている。








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