お隣りからこんにちは〜

くさぶえ 舞子

お隣からこんにちは〜

お隣りには、老夫婦が住んている。引っ越してきてそろそろ十年位経つと思う。初めはヒドイ人達だった。うちの敷地内に元気に育っていた南天の木に除草剤をかけてくるような変人だった。


 ところが、地域の役員などをやるようになってから、愛想よく話しかけてくるようになった。私が子どもを産んてからは会えば、

「息子ちゃんは元気にしているか?」

 と、少し話すようになった。


 息子が九月生まれだと改めて知ると、

「自分も九月生まれだ」

 と、おじさんは主張してきた。そこから数年毎年九月が近くなると、誕生日の話をした。


 私はかねてから謎に思っていた年齢のことを思い切って聞いてみた。

「今年、何歳になられるんですか?」

と、聞くとしばらくおじさんは考えて

「七十二になる」

と、答えた。ので思わず本音で

「若いんですね〜もっと上かと思ってました。」

と、返したら

ちよっとムッとした感じで

「貫禄がある証拠たい!」

と、明るく返された。



 日付と年齢まで聞いたからには何かしないといけない感じがしたのでオルゴール付きのバースデーカードを用意した。渡すのには葛藤があった。

いきなりお隣りさんからバースデーカードをもらったら不気味じゃないかな…と、考えて考えて悩んだ。

じゃあ、隣りのおじさんの誕生日までに会えたら、渡そう!そうしよう!と、色んな人に相談して出た結論だった。


 結果、お誕生日の二日前に遭遇したので、思い切って玄関にスタンバイさせておいた封筒を渡した。

反応は

「な〜んだ、バースデーカードかぁ〜」

と、言われた。


ちょっとガッカリしたけど照れ隠しだよ。と、夫が後でフォローしてくれた。


 私は色んな人にカードを贈っているけどもらったことはない。隣りのおじさんにとっても初のカードたったら嬉しいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お隣りからこんにちは〜 くさぶえ 舞子 @naru3hakuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ