第13話

アン「クソがッ!!!何で、何が違うんだ!!!」ガンッ!!!!!


アン「いいか!?私はな、登場人物のどうこうだとかは興味が無いんだ!!!何がキャラクターだ!心境とか人生だとか、薔薇様とのやり取りとか些細な描写はいらないんだよ!!!」


アン「世界だ!広い世界に広さを感じたいだけだ!でも──世界は人でできてる」


アン「微粒子だか何だかの小さい奴らが…密集して世界ができてる。それが大きいものだ。なぜだ!?」


アン「矛盾してるじゃないか!!大きいのに小さい、意味がないのに意味がある。おかしい!!おかしいのは人間の脳か?」


アン「ははは…そもそも微粒子だの宇宙だの、直に見たことは無い。神話だの宗教だの幻想とおんなじだ」


アン「脳!!!!!この脳が!!!イカれちまってんだよ!!ぶっ壊すぞ!!!?おい!殺せ!この脳を!!」


アン「誰か私を殺せ!!イカれてるぞ!!!」


そして話はタイムスプットの永遠図書館跡地から始まる。


番人『はぁ、はぁ…瓦礫の撤去がまだ終わらない。これじゃ永遠瓦礫館だ』


賢者『待て!あれは…?』


瓦礫の中に一つ、光輝いているものがあった。それは荒廃した空気の中でも神秘的に人を魅了するものだった。


番人『…本だ。永遠図書館の記録は全て自ら燃え尽きたはずだが…?』


賢者『見せろ。この内容は…』


はるか昔、かの地で、ある魔王と戦った勇者の記録である。


勇者達は魔王を封印した後、今は亡き王国を作った。千年に渡り栄え、神にも恩寵を得た王国は一夜にして滅びた。


新たな魔王の誕生である。


──兵士『何だ!?奴の力は…。椅子に座って浮いてるだけで…何かの魔法が!!!』


王子『あれは…本。本を、書いている。』


魔王『……。』


魔王は星々も見えぬ暗闇の空に現れ、椅子に座って本を書いていた。ただそれだけで王国には厄災が降りかかった。


守護神『……王子、あれは神の域にある術。私の力を全て貸します。あれを討たねば、王国が生き延びる事は無いでしょう。』


王子『守護神!それは…。…分かった』


神は自身の力を王子──勇者の血族に全て与え、堕天した。王子はその力で聖剣を掌から生み出し、魔王と戦う術を得た。


勇者と聖剣──神殺しの剣の再臨である。


だが、勇者の剣が敵の喉元に届くよりも早く……魔王によって王国に隕石が降り注いだ。


今、王国の跡地には、ただ底の見えない巨大な穴が空いている……。


──賢者『……』


番人『……』


賢者『…なぜ、この記録が今ここに…?』


──『俺だ』


賢者『…!?どこから声が』


『俺だ!封魔…、封印された一代前の魔王だ!』


封魔『既に力尽きる寸前だが、ここに来て新展開があったようだな。どうやら過去の俺は魔王だったらしい。』


封魔『おい!俺は分かってるからな!ここで起源の書を俺も読んだからな。』


封魔『何をする気か知らんが、展開としてはこうだ。俺は死ぬ寸前にここへ来て、過去の記録を蘇らせる。もちろん、それは俺が前魔王だったから出来た事だ。』


封魔『俺も「神の域の者」ってことだ。いや、そんな事はどうでもいい。結局やつに変えられりゃお終いの部分だ』


封魔『重要なのは…俺がここで過去を変える事だ』


封魔は魔王の権能を使って自身の過去を変えた。それはアルスルと出会った時、アルスルに神の加護が与えられた時である。


封魔『アルスル…お前に本物の加護を与えよう。』


アルスルに新たな過去が加えられた。


続く

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