第11話 ネクロス
アルスルの幼馴染みは元人間、川出身の魔物である。
彼女は齢3歳から大人に負けない力を持っていた。幼馴染みが駄々を捏ねれば山が崩れ、遊び回れば家々が地割れで断絶された。
薔薇「すごっ」
なので幼馴染みは人々から疎まれていた。彼女が本気で暴れれば誰も抑制できなかった。誰も幼馴染みに近づこうとはしなかった。
幼馴染み『僕は一人で生きていくしかないのかな?一生?死ぬまで?』
幼馴染みの両親は幼馴染みに殺された。彼女はもはや人を力で支配するまでに考えが及んでいた。試しに少し捻ったところ、両親の身体はねじ切れ再起不能になった。
幼馴染みはパニックになり逃げ出した。山奥でアルスルに出会うまで、独りだった。
アルスル『あはは!凄いじゃないか!お前がいれば力仕事は万事解決だ!』
幼馴染み『き、君は一体…?僕も、何だか君の事は嫌いじゃないや』
アルスルと出会い、幼馴染みは変わった。アルスルのように人を信じ、人に好かれる者になりたいと思った。
魔将軍ヘル・シルグドラの槍に身体をバラバラに砕かれた時──
グシャッ ドシャッ
幼馴染み『(…アルスル…今までありがとう…)』
幼馴染み『(どうか…世界から…魔物を全て…消し去…て……)』
幼馴染みは死んだ。
かに思えた時、バラバラになった肉片が──
蠢き、寄り集まり、複合した。
幼馴染みは初めて気付いた。自分が不死の身体を持っていることに。
幼馴染み『え……?死な…ない…?……不死……?いつまで……?』
幼馴染み『僕は…いつ死ぬんだろう?』
何度も死を試みたところ、どうしても死ねなかった。海の底一万mでも心臓は動き、溶岩に浸かっても細胞は生きていた。
幼馴染みはアルスルを探し出した。彼の役に立つためではなく、今度は彼に殺してもらうために。
幼馴染み『アルスルは僕を殺してくれるだろうか?』
──幼馴染み、彼女の名はネクロス。不死の死を望む者。
続く
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