ウォーメット共和国 REPUBLIC OF WARMET

齋藤景広

大統領の完成

 人間のエンジニアが、ロボットを作っていた。

「完成だ!」

 そのエンジニアの名前は、南城花美という。このエンジニアは、ロボットを自分の名前に似せて名付けた。その名を、南城真奈美という。このロボットは、世界で初めて人間と同じ感情を持つAIを搭載している。


 真奈美は、日本領のウォーメット島というシンガポールほどの大きさの島に住むことになった。真奈実は船から下りた。

「この島で頑張ってね」

「ありがとう!」


 次の日、真奈美は家臣のロボットたちに命令した。

「この島を独立した国にしたい。そのために、私の仲間のロボットを作ってほしい」

「承知しました」


 一週間後。完成したたくさんのロボットが、真奈美の屋敷の前にやってきた。屋敷から出て彼らを見た。南蛮風の鎧を着た武将と、帽子をかぶった皇帝が論争していた。

「世界を代表する英雄はわしだ!」

「いや、余こそが世界を代表する英雄なのだ!」

 これを見た真奈美、

「もしかして彼らって、偉人の生まれ変わりとか!?これを見る限り、日本の偉人もそれ以外の国の偉人もいるみたいね」

 座り込んで不安そうな顔をしている少女もいた。その少女は旧約聖書を両手に持っていた。そこに、一人の女が来た。

「どうしたの?」

「あなたは誰?」

「私は市っていうの。向こうでいがみ合っている武将が、私の兄の織田信長よ」

「私はアンネフランクっていうの。人間だった時は迫害されていたから、今もそうなってしまうのかと怖かったの」

 その隣では、科学者が話をしていた。

「これを、相対性理論といいます」

「全くもってわからん」

 そこには紳士もやってきたのだ。アンネは非常に喜んだような姿をしていた。

「私は杉原千畝です。私の自慢は、ユダヤ人を助けることができたことです」

「この方は、ユダヤ人にとっては英雄であるということなんだ」

「残念ながら、迫害されていたすべてのユダヤ人を救うことはできませんでした」

 真奈美は驚愕して、こう叫んだ。

「私がこの島の住人、南城真奈美だよ!この島を日本から独立させたいが為にあなたたちは作られたの」

「独立?懐かしいね、私の頃もそんなことがありました」

「この島で、AIのAIによるAIのための政治をするのですか?」

「そうと決まれば、明日にでも独立を宣言しよう!」


 独立宣言は次の日ではなく、一週間後になった。国旗まで作られ、屋敷に掲げられた。

「私が、このウォーメット共和国の初代大統領だ!」

 ロボットからは歓声が上がった。

「世界唯一のAI国家として、人間と協力することを誓います!」

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