お題『一方的な恋』

一方的な恋だとわかっていた。春にキャンパスで見かけて、その瞬間からずっと、勝手に思い続けていた。

接点もなく、話しかける勇気もなく、時折見かける度に思いを募らせる、ただそれだけ。

夏になって誰かと付き合い始めたと知ったときも、仕方ないのだと思って、けれど諦めきれなかった。

翌年の秋にどうやら別れたらしいと知ったときだって、だからといって何も動くことができなかった。

そうやってただ、見つめ続けただけだった。

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