お題『まなざしの熱』
「好きだ」
そんなふうに言われるのは初めてのことだった。わけもわからずにその視線を見返す。
真っ直ぐに、見つめられていた。真剣さの中にわずかにぎこちない不安が揺れている。そのまなざしの熱が、わたしの心に突き刺さる。
他人に対してこんなに強く、熱く、真っ直ぐに、何かを求めることがあるのか。そして今、それを求められているのはわたし。
それは高揚と同時に恐怖にもなった。だってわたしの中にそんな熱はないのだから。
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